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2015年11月1日日曜日

信成が、村上大介で泣いちゃった。

羽生ちゃんがやってくれました。

飛んだジャンプミス2発で20点ばかりを損して6位に終わったショートから、かなりな追い上げで最終順位2位まで上げてくれました。
スケートカナダ。
いやしかしさ、2回転以下のジャンプをショートでは0点にするって扱い自体がどうよ、と思う。
ミスしたときのリスクがでかすぎて、実力がなかなか順位に反映されない事態になるのではないかとそんな気がします。

まあ、スケートカナダに関してみると、そういうことにもならずに済んだようですが。

今季から、GPシリーズの解説を織田信成くんが務めるようになりました。
先週のアメリカ大会では、女子のみの解説でしたが、今回は佐野稔さんの都合でも悪かったのか、女子も男子も信成くんが解説を務めています。

思えば、日本フィギュアって、女子シングルは元女子選手、男子シングルは元男子選手が今まで務めることがほとんどでした。
別にこれは、ジェンダー云々ということが言いたいわけではない。
だって、ほとんど地上波中継がないから聴かないけど、アイスダンスはアイスダンス出身の現振付師、宮本賢治さんがやってるし。
要は、餅は餅屋というところを、結構大事にやっていたと思うのですが、今年は、荒川静香が育児休暇でも取ってるのか、そして鈴木明子も折り合いがつかなかったのか、なぜか、元男子選手の信成くんが、女子の解説も引き受けているのです。

個人的には、正確でわかりやすい解説で、しかも声のトーンや語り口調がはんなり優しいので、かなり解説向きだと思います。
来年以降もやってほしいと思うくらい。

ですが、心配?していたことが、なんとシリーズ2戦目にして出てしまいました。
泣きグセです。

彼の泣きは、番組の最後に突然訪れました。
ショートプログラム1位でフリーは最終滑走者になった村上大介くんの演技が終わった後でした。
3回転ジャンプが2回転になったりとか、細かいミスはありました。
でも、転倒は一度もありませんでした。

彼の前に滑ったのは、パトリックチャン。
ほぼノーミスの迫力ある非の打ち所のない演技でした。
スタンディングオベーションがしばらくの間鳴り止みませんでした。
ショート終わった時点での得点差は、0.07。
誰も村上くんが首位を守りきれるとは思っていなかったでしょう。
私自身も、表彰台を守って欲しいくらいに思っていました。
雰囲気に飲まれてミスを連発しなきゃいいんだけど、と心配していた。

けど、村上くんは、ひとつひとつの技を愚直なくらいに丁寧にこなし、最後まで自分の演技をやりきったのです。
YOSHIKIが作ったanniversaryとかいうドラマチックな曲に乗せて。
表現力は去年よりついたとはいえ、チャンや高橋大輔のようなこなれ感は、まだまだありません。
でも、見終わった後、ああ、いい演技だったなあとしみじみ思える良い演技で、会場のお客さんも、彼に対してとても温かい拍手を惜しみなく送っていたのでした。
その拍手は、4回転ジャンプを3回決めた羽生くんに対するよりも大きいと思うくらいのものでした。

で、そうしたところ、コメントをアナウンサーに求められた信成くんの声が泣き声になっていた、という…

泣くのもわからなくはない演技ではありました。
特に選手として一緒にやってきたであろう信成くんであれば、余計そうなんだろうなとは思う。

村上くんは、実はチャンと同い年。
日本人選手だと、町田樹くん、無良くんと同じ世代。
遅咲きの世代の一人で、その中でもとりわけ遅咲きだった存在なのです。
加えて彼の場合、アメリカ暮らしが長く、アメリカ国籍も持っているため当初はアメリカ代表としてやっていたという歴史もある。
おそらくは、そこで伸びきれなくて日本選手としての道に鞍替えしたけれど、しかもそこでもなかなか日の目を見ずに来た選手だった。
2012年には試合前の練習で肩を脱臼し、次のソチオリンピックシーズンを棒にふる無念さも経験しています。

そこから這い上がって、昨年NHK杯で優勝し、そして、チャンや羽生くんと同じ大会で、最終滑走者として、大きな拍手を受けるところまでやってきた…

そういう彼の歴史がそれこそ走馬灯のように脳内を駆け巡り、信成の涙腺をガンガン刺激したのでしょう。

でもさ、ちいと早すぎやしねえか。

グランプリシリーズは、フィギュアシーズンの国際大会の中では、B級とまでは言わないけれど、大会ランクとしては一段落ちる大会です。個々の大会には、かなり無名な選手も出てくるし、世界選手権で10位以内に入れないような選手でも優勝してしまうことがあるクラスの大会です。

しかも、まだまだ序盤の戦い。

日本選手の場合、世界選手権出場がかかるファイナルとか全日本選手権とかが序盤の最大の山場になるわけです。

そこでいい演技をして、初めて泣くべきだったんじゃあないのか、織田くん。

泣かないホトトギスも困りもんですが、泣きすぎのホトトギスも価値はなくなるわ、うるさいわで、これまた困りもんですぜ。

というわけで、涙腺の緩みどころは割に掴みやすいものの、決壊するポイントが早すぎるのが、今回改めて明らかになった信成くん。

次に泣くのは、もしまた解説をやるなら、絶対次週の中国グランプリだ。
だって、真央ちゃん出るもん。
ショートノーミスで終わった日には、間違いなくその場で号泣。

そんな予感がして、たまらんのです。

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