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2018年2月24日土曜日

メダル残酷物語:平昌オリンピック女子シングル総括

よくやった!!
よくやったんだけど、メダルに届かなかった。
宮原知子ちゃん。

ハヤシは、個人フリーの演技を見終わった後、オズモンドさえこけてくれりゃ銅メダルだと思っていました。
 
何しろ、オズモンドはフリーに弱い。

ショートで完璧に滑っても、フリーは転倒やジャンプのすっぽ抜けなどを繰り返して自滅してくれることが多い。

滑走順もザギトワとメドちゃんの間だったので、潰れてくれるんちゃうか、きっとそうに違いない、そう期待していました。

が!!
若干のミスはあったものの、ほぼ完璧に近い演技をされてしまい、あえなくハヤシの短い夢は潰えたのでありました。

あたしゃー北米系の大味な演技が受け付けず(羽生ちゃんの演技がダメなのもそこだと思う)、未だにオズモンドってそんなにいいかよと思っているのですが、やはり持ち前の「華」に、生真面目な知子ちゃんのこじんまりしたいかにも日本人臭い演技は叶わなかったのでした…。

考えてみりゃオズモンドって、去年の世界選手権銀メダルだもんね。

宮原さんは今シーズンに関しては、そもそも戦略を間違ったんちゃうかという気がしています。
ショートもフリーも、日本女性を主人公にした曲っていうところが。

なんというか、こういうテーマの場合、やはり細やかさみたいのが意識された振り付けにされがちで、女子フィギュアの表現力の面で求められる、先に書いた「華やかさ」みたいなのが出にくい。特に、ジャンプが小さい宮原さんは、それをカバーするには大きな演技が必要なんじゃないかと思うんですが、ショートもフリーもそれを出せなかったんじゃないかと思うのです。

せめてフリーは、蝶々夫人ではなくて、ドラマチックなクラシックとか映画音楽とか使ったほうがよかったのでないかなと素人ながらに思うのです。

そこで成長を見せられれば、審判の目も少し違うものになったんじゃ…。

いやでもね、かおりんともども、本当によくやったと思います。

二人とも初出場で、ポスト真央の重責の後で、本当に渾身の演技でしたよ。
二人があそこまでできたことにハヤシはすごい感動した。

感動しただけに、メダルを取って欲しかった。

よかったと思う反面、そういう意味で悔しいというか腑に落ちない気もする複雑な心境なのでした。

さて、金銀の争いについては、結局ザギトワが制しました。

フリーの点数は二人とも同じで、結局ショートの僅差で勝負がつくという厳しい争い。

ですが、ハヤシとしては、フリーも含めてザギトワがメドちゃんを圧倒していたように見えました。

ザギトワのプログラムは、ショートもフリーもジャンプはぜーんぶ後半という超攻撃的かつ15歳の今しかできないもので、かつ、前半が間延びしないように曲の編集も振り付けも隙がないものでした。

年齢に見合ったチャーミングさに加えて、15歳とは思えない大人っぽさもあるザギトワちゃんの雰囲気にショートもフリーもぴったりのプログラムで、メドちゃんの振り付けや表現がもはや古臭くすら感じられる新鮮さ。

ショートでザギトワがトップに立った時点で、「こりゃメドちゃん勝てんな」とハヤシは確信していましたが、ザギちゃんのフリーを見た時には、「うん。これは誰も勝てない」とさらに思ったのでありました。

メドちゃんの必死の演技は(というか、演技後の泣きが実は一番採点に関わってんちゃうかと思いますが)、フリー同点というところまでこぎつけたものの、そこ止まり。

やっとの思いでそこまでは来たけどそれ以上は無理だったという、ある意味においては完敗の戦いだったようにも思うのです。

ハヤシは、ジャンプの時の手の上げ方の汚さとか芝居の大きさとか、効果音を多用した曲づかいとか、メドちゃんのプログラムや演技はあまり好きくないのですが、それでも、今回の銀メダルは、ちょっと気の毒だなと思いました。

だってさ、ここ2シーズン女子フィギュアを牽引して来たのは間違いなくメドちゃんですぜ。

世界中の女子シングル選手のレベルアップのモチベーションを作って来たのはメドちゃんですぜ。
功労者なのです、彼女は。

それが、今シーズン、骨折のアクシデントに見舞われた上、後から這い上がって来た後輩にあっという間に追い抜かれて、盤石だったはずの金メダルを持ってかれてしまった。

まさにあぶらげをトンビに持ってかれた感じなのです(そんな諺はロシアにはないだろうけどさ)。

まさか、もはや世代交代なのかという残酷さ。それを味わったのが、メドちゃんなのです。

そして、金メダルを取ったザギトワだって、この後恐ろしい試練が待っているかもしれません。

早速喧嘩を売ったのは、なんとアメリカのワグナー。

前半休んで後半にジャンプ固めてあんなの演技じゃないとSNSで噛み付いたとか(ハヤシ的にはもはやそれができないおばさんの僻みでしかないと思うんだけど)。

名の売れたスケーターが喧嘩売ったことで、同じような批判に彼女は今後晒され続けるかもしれない。

彼女はルールに則った戦い方をしたまでのことであって、こんな風に批判される筋合いは本来ないはず。

しかし、齢15歳の女の子。周りの大人がちゃんと守ってあげないと、彼女の精神はすごーく不安定になってしまう危険があります。

だけではなく。

彼女は、金メダルを取った直後に、幸せと同時に心に穴が空いた感じがするなどと発言しており、ちょっとこの辺りが聞き捨てならん感じなのです。

15歳にして燃え尽きたのか?という。

まあ、燃え尽きても仕方ないでしょうけどね。

ロシアは国をあげてフィギュアを強化していて、虎の穴みたいなところで選手同士を激しい競争に晒してレベルアップして来たというのですから。
日本の選手どころじゃない練習量をこなして来たと思われるわけであります。

燃え尽きた先に、薬とか酒とかが待ってなきゃいいんだけど。

若いティーンの女子チャンピオンはのなかでは、タラ リピンスキーとか、オクサナ バイウルとかがこういう道を辿ってしまって、人間として立ち直るのにひどく時間がかかったと言われています。

そこまでいかないにしても、ソチのチャンピオン、ソトニコワみたいに手に入った賞金元手に始めた?事業が軌道に乗ってスケートに身が入らなくなり、そのまま引退状態なんてことも考えられるわけで。

実際、ザギトワは日本食レストランをする予定と話しているようで、ソトニコワみたいになっちゃう可能性も十分にあるのです。

若いチャンピオンは短命で終わるのが宿命なのか。

ハヤシは、ジャンプ後半固めができなくなった後のザギトワの成熟した戦いも見たいんだけど。

というか、まさかまさかの来季からもう見れないとかないよね。彼女まだシニア1年目なんですけど…?

金メダルを取ったとしても素直に喜べない今回の女子シングル。

メダルをとった人もとれなかった人も、憂うべき事情てんこ盛りな感じ。なんともいえない物悲しさを含む平昌の女子シングルだったのでありました。


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