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2023年9月10日日曜日

専門職が搾取されている!?

 少しずつ秋っぽくなってきた札幌です。

とはいえ、9月にしてはまだまだ暑いのですが…


さて、スキルマーケットに登録して、集客を図ろうとチャレンジを開始したハヤシです。


*前回投稿はこちらから*

https://comcomcom0620.blogspot.com/2023/09/mychallengefoemywork.html


まだ本格参戦して1週間なので、結論を出す気は毛頭ないのですが、強烈に感じたことがあります。

それはタイトルにもあるとおり、「専門職が搾取されている」ということです。


契約書の作成・チェック、法令調査というのは、本来高い技能や知見がないとできないことで、我々弁護士としては、本来そうそうディスカウントはできません。

私は契約書チェックについてはA4判2ページ10条までで最低料金2万2000円(消費税込)をもらっています。


が、スキルマーケットを見るとですね…「業務委託契約書のチェックを8000円まででお願いします。弁護士の方希望」とか書いてあるわけですよ。


うひょー。なんだそれ。

東大生の家庭教師より安いんじゃね?という金額。


で、そういうのに応募者が複数いたりするんですよね。


怖くて確かめてないけど、まさか弁護士いないよね…

応募者の多くは、行政書士あたりだと信じたいです。


ココナラなんかは行政書士が契約書の作成・チェックしますという出品を結構していて、料金も大体15000円くらいだったりします。

だけどねえ…悪いけど、行政書士の人に何がわかるんですかね、と思います。


私、司法試験の勉強始めて1年目で行政書士試験受かりましたからね。

司法試験の合格までは10年かかっているわけで、つまり、必要とされる知識量や理解の深見はそれくらい違うということで、本来契約書のチェックって、それくらいの知見がないとできないことなのです。


というのも、契約書って、「自分の利益を守る」手段なので、気をつけて見てないと、発案者の方が、自分の利益だけ守って相手を大きく不利益に扱う内容をさくっと盛り込んでくることが少なくない。

そういうものに対する臭覚というのは、それ相応の訓練を受けてきたものでないと働かんのです。


しかも行政書士って、本来は、行政当局に出す届出書とか許可申請書の起案する専門職でしょ。

契約書の何がわかるというのだ一体、と思うわけです。

まさに「弁護士でないものが弁護士の仕事をしている」非弁たるものだったりするのですよね。

それを堂々と「法律の専門家」とか言ってやっちゃうわけですから、全く自分の実力や資格の位置づけどう考えてるんですかねとか思っちゃうわけですよ。


私、行政書士に対する偏見めっちゃ持ってます(真面目にちゃんとやってる方ごめんなさい。)


大体行政書士が書いたんだろうなという契約書とか内容証明とかわかりますからね。

なんというか、法律的に押さえておかなきゃいけないポイントの踏み方が甘くて、中途半端な感じがプンプンするのです。


で、そういうのがさっき書いたように、本来それなりのお金をもらって依頼を受けるべき仕事をディスカウントしてくれちゃう。

もしかすると「奴らに負けるか!!」と思っている弁護士(で、仕事に窮している人たち)が、行政書士並みの金額で、仕事を受けようとしちゃってたりして。


そういう「搾取のスパイラル」をスキルマーケットに感じました。

まさに闇です。


はっきり言っておきますが、私の料金設定だって決して高額ではありません。

むしろ弁護士にしてはリーズナブルな方で、諸先輩方から「安売りするな」と怒られるかもしれない値段だと思います。

その私ですら「この安値はどうだ!?」と阿鼻驚嘆してしまうわけです。


弁護士報酬は、以前よりは値下げされている…というよりも正しく言えば、高価格帯と低価格帯に二極化されていて、低価格化が進んだのは、知る人ぞ知る「法テラス」ができたからだという向きがあります。


法テラスは、ざっくりいえば、独立行政法人がやっている貧困層の弁護士費用を立て替える機関なのですが、まあ、貧困層の経済力に合わせて、弁護士費用がリーズナブルに抑えられているわけです。

この機関ができたことにより、夫に搾取されていた妻とかが、離婚調停の申し立てに弁護士に依頼しやすくなったりして、一定の成果は上がったわけですが、一方で「弁護士費用のディスカウント」が起こったと批判されるようになったのです。


が、それだけじゃないなあ…とスキルマーケットを見て思いましたね。


本来やれないはずの業務を行政書士なんかが大っぴらにスキルマーケットで安値でやっている。そこに仕事を獲り負けしないように、(儲かってない弁護士が)さらに安値を提示する…

あまり表沙汰になっていないけど、こういうのも大いに影響あるよなあと思った次第です。


特にココナラはひどい感じ。


で、仕事とるためにあなたディスカウントするの?と問われそうですが、その気は全くありません。

理由はいくつかあります。

まず、ディスカウントしてまで仕事を獲る必要がない。

確かに、今の事務所を出て自活する道は探っていますが、大幅ディスカウントしなくちゃ仕事を獲れないようでは、そもそも自活できないでしょう…だったら、良いお給料をもらえて、ある程度時間の自由が利く今の事務所にいたほうが全然良い。

それと、スキルマーケットに出したのは「広告の補充」的な意味合いも結構あって、「こういうことができる弁護士がいる」→ウェブサイトに流れる→依頼という方向性もある程度狙っているということがあげられます。

最後に、本格参戦する前に、私から見た適正価格で依頼してくれた人も複数いるということです。

ディスカウントしなくても、「ちゃんとしたものが必要ならこれくらいのお金はかけるべし」という欣持をちゃんと持っている人にはその時その時で出会えるわけです。


なので、私はディスカウントはやりません。


いやでもね…

朝がつらいとか、「いること」が半分仕事とか、いろいろ考えることはありますが、さしあたり札幌に戻るにあたって、今の事務所に入ったのは間違いじゃなかったとつくづく思います。


自由度でいえば、確かに前事務所の方が段違いで高かった(時間の誓約ほぼなしでしたから)。


*この話についてはこちらから*

https://comcomcom0620.blogspot.com/2023/08/maenojimushogariso.html


ただ、前事務所よりも高額のお給料をもらえて、その上で、事務所でブログ書き放題で、通院の都合で早退遅刻は柔軟にできる。

まあ…いい事務所だよなー、私にとっては。

少なくとも、ひどいディスカウントの世界に飛び込んでいく必要がないだけでも感謝するしかありません。


自活の道もフルリモート転職の道も、ボチボチです。

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