2013年1月4日金曜日

斉藤和義一考その弐

帰省して1週間が経ってしまいました。
4日は休みを取ったので、まだ3日休みはありますが、この分だと気が付いたら仕事突入だ。
ここは竜宮城?と思うほどの時間の流れなんですが、それってある意味、ほんとにくつろいでいる証拠なのかもしれないと思います。
仕事しているときも、時間がない時間がないと思っているけど、その時に感じる時間の早さとは明らかに違うんだよね~。

さて。
元旦の夕方くらいだったでしょうか。
実は、紅白で、斉藤和義が反核のメッセージをギターのストラップで伝えていたことを知りました。
それだけでなく、自らの唄を替え歌にしたりして、反核のメッセージを伝えていたそうで。
最近、彼に触れる機会がなかったので、不覚にもこの時初めて知りました。

私が知る限り、斉藤和義というのは、こういうあからさまな政治的メッセージとは無縁な人でした。
まあ、私は、彼のすべての発言をフォローしているわけではないので、実は昔からしていたのかもしれないけど、少なくとも、イメージとして定着するようなメッセージの発し方はしていなかったはずです。
だから、ちょっとこれを知った時には驚いてしまった。

彼のストラップのメッセージは、明らかに原発のことを意味してのメッセージなんでしょう。
もしかすると非常に失礼な物言いになるかもしれないけれど、それを覚悟の上で書かせてもらいます。
本当に、反原発という運動に、彼は共感してメッセージを発しているんだろうか?

別にね、本気でそう思っているんだったら、それはそれで構わないんですよ。
ただ、さっきも書いたように、斉藤和義というのは政治的メッセージを発するようなミュージシャンではなく、ただひたすら男の日常を?歌い続けてきたと固く信じている私からすると、3.11以降の「原発反対を唱えないと業界からはじかれちゃうかも」みたいな流れが、自分が想像しているよりも強く、音楽の世界にも充満しているのかなあと思わなくもないわけです。

実は、うちの業界は、震災の復興支援をしている人、原発問題で被害者側に立っている人が、「頑張っている弁護士」とされる傾向が非常に強いのが現状で、復興支援や原発被害者側やらない人は、ちょっと肩身が狭い状況です。
これ、東北に限られないんです。なぜなら、被災者の皆さんが、結構あちこちに散っていらっしゃるので、割と広範囲の弁護士業界の話なのです。
最近はそうでもないですが、一時期は、新興宗教かとでも言いたくなるほど多くの弁護士が震災復興支援、原発問題に群がり、立ち位置によっては、協力を強いられかねない状況でした。
かくいう私自身、わりに公益的な業務をしていた関係上、協力を強いられました。
が、当時は名古屋で仕事をしていて、客観的には、それほど積極的に関わる必要性はなさそうだったし、弁護士の多くが震災に流れる結果、本来フォローすべき人権問題(非常にマニアな話なんですが、たとえば派遣労働者の搾取問題とか、刑務所での人権侵害問題とか)がおざなりになるのもまずかろうと思っていて、私自身は、震災業務の外側に立つことを選んでいたわけです。
全弁護士を巻き込みそうな勢いの一部のヒステリックな流れにもついていけなかったしね。
それで、陰口をたたかれたりして、仕事がしにくいなあと思ったこともあったりしたのでした。

そういう、自分がシンパシーを覚えているわけではないことについて、あたかもシンパシーを覚えているかのようにふるまうことを余儀なくされる状況というのは、非常につらいもので、付き合いの関係上、やったとしても、やりながら違和感は感じ続けるわけです。そうすると、そういう不熱心さというのは、お客さんにも伝わってしまうわけなんですよね。

なんというか、斉藤和義のあの反核パフォーマンスには、本気で反核を訴える覚悟が感じられなかったというか…あまりに中途半端というか…やる意味あったんかいなと思わずにはいられないのです。
なんか、ちょっとやってみてる、そういう意識の行動にしか見えないんだよなあ。
そして、こういう中途半端なパフォーマンスが、最近のメジャーを意識した中途半端な曲の世界観を思い出させて、すごーくすごーく残念な感じに見えちゃうわけです。私なんかは。

反骨のあり方というのは、色々あって、正面から文句をつけたりわかりやすいメッセージを発したりするだけが適切な方法でもないと思うのです。
たとえば彼の場合だったら、どんな時でも、「歩いて帰ろう」「進めなまけもの」なんかを歌い続けることが、反骨になりうるんじゃないかと思います。

反原発が正しいのか正しくないのかということはひとまず置いておいて、ミュージシャンは、もっとファンのほうを向いてほしい。何かのメッセージを発するために、突然、昔からのファンを置いてけぼりにするのは、ミュージシャンとしてどうなんだろう。
その行動が正しいと、ワタクシには思えないのでした。





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