3月22日から25日まで開催されていた世界フィギュア。
カーリング世界選手権とバッティングするなか、当然のごとくこちらを優先して、放送をコンプリートしました。
結果は、4種目中、日本が3種目で金。しかも、ペアは日本人初(グランドスラムも含め)、男子シングル女子シングルはやはり日本人としては初の連覇ということで、いずれも値千金の金でした。
いやすごいね〜、日本開催で地の利があったとはいえ、ここまでできるというのは喜ばしい…と思いつつも、将来を見据えると、ライバルがヒタヒタくる…ということも沸々と感じる大会でありました。
私が今回一番印象に残ったのは、女子シングルで銀メダルを取ったイ・ヘイン。
17歳にしてほぼ完成されていると言っても良い演技で、「うまいな〜」と感嘆しました。
昨年の北京オリンピックは代表になれなかったというから急成長したんでしょうかね…
安定感もさることながら、ステップの力強さ、表現力の豊かさ、演技の美しさは目を見張るものがありました。
おそらくキムヨナに憧れてフィギュアを始めた口だとは思いますが、キムヨナなんぞより、よほどうまい。
キムヨナは、当時珍しかったルッツ・トゥループの連続3回転が飛べただけで、あとは特筆すべき技はなく、スピンやスパイラルのポジションもとても甘くて汚かった選手ですからね。
表現力と呼ばれるものは、はっきり言って「顔芸」で、あとは審判へのロビー活動で上位に来たある意味姑息な選手でした。
そんなインチキ金メダリストとは比較できないレベルの良さを持っているのがイ・ヘインなわけです。
今大会、フリーは彼女が1位でした。まあ、坂本花織が1本ジャンプがすっぽ抜けて1回転になってしまったので数点彼女が上回っただけ…といえばそれまでですが、それも今年までの話でしょう。
四大陸選手権の優勝と世界選手権銀メダルのインパクトは、彼女の選手としての格を爆上げしたと思われます。演技構成点が来季以降かなり上がるんじゃないかな。
韓国の女子選手、上位に食い込んでくる子が増えてきたので、日本女子は侮れませんが、その中でもイ・ヘインはトップです。
いつロシアがスポーツ界に復帰して来るのかわかりませんが、もし来季復帰しないとしたら、来季彼女は大活躍するでしょう。
グランプリシリーズから、ファイナル、四大陸、世界選手権と総なめするかもしれませんね…
6位に入った16歳のキム・チェヨンもフリーはすごくよかった。こちらも伸び盛りみたいなので、二人で金銀独占とかありうるかも…と思っています。
その他雑感。
渡辺倫華ちゃん…ショートがダメでフリーで追い上げって、いつものパターンで?結局10位まで来ました。フリーだけなら7位だったんですよね…
それだけに本当にショートが悔やまれます。
例えば、ショートはダブルアクセルで安定させて、フリーでトリプルアクセルとかにした方が、今の彼女の実力的には良いのかなという気がしました。
結果論だけど、今回の世界選手権、その作戦で、例えばショートで65点くらい取れていれば、8位に入れていたと思うので、ちょっともったいないなと思います。
まあでも、昨年まで無名で今年いきなり出てきて、10位は立派だと思います。
来季は紀平梨花ちゃんが完全復調してきて、樋口新葉ちゃんが復帰したりすると、なかなか代表争いが厳しくなると思うので、頑張ってほしいですね。
そして男子…
フリー、あんなボロボロな演技でよくあの点が出たなと思わせる宇野くんでした。
だって、3連続は入らなかったし(足の調子が悪くてあえて外したんでしょうね)、4回転トゥループの連続ジャンプ、2つめは1回転になっちゃうし。
ただ、飛んだジャンプの加点は凄かったし、演技構成点は当然のことながら最高で、それであの点になったんだなと思います。
飛べるジャンプを完璧にという作戦だったのだろうなと思います。
こちらも2位は韓国のチャ・ジュンファンで、フリーは彼が宇野くんを上回っていたわけですが、完璧にやって僅かに上回っただけ…なので、宇野くんが完璧にできると、まだ実力差はあるということなのだろうな、なんて感じました。
が、チャくんうまくなった。
ショートのマイケルジャクソンもすごくよかったし。ジャンプで回転不足とられなくなったし。主要大会の表彰台常連にようやくなれるのだろうなと思います。
男子といえば、ジェイソン・ブラウンが、ショートもフリーも完璧で、しかもどちらも感動的に素敵なプログラムでした。
オーサーに指導を受けるようになってから、ジェイソンはジャンプがとても安定して、4回転抜きでも安定的に上位に食い込めるようになりました。
オーサーって、キムヨナのコーチのイメージが強く、ちょっと微妙と思っていましたけど、怪我をして調子を落とした金ちゃん(ボーヤン・ジン)とかも引き受けて指導しているのを見て好感度が上がり、ジェイソンを上位に食い込ませる作戦の立て方のうまさにちょっと唸っているところです。
あと忘れちゃならない友野一希くん。
ショートとフリーで1つずつジャンプミスがありましたが、どちらもいい演技でした。
個人的には宇野くん以上に踊れるスケーターだと思っていて、ジャンプさえ決まれば世界でも上位に行けると思っていただけに、今回の自力出場と6位入賞は本当に嬉しいです。
そして、アイスダンス。
私、この競技はあまり見ていないのでいまいちわからないのですが、村元高橋良かったよね〜。あれで11位なんですね〜…スコアは自己新だし、順位も日本人最高タイらしいけど、もう少し上でも良いんじゃないのって、ちょっと欲目で思ってしまいました。
総じて充実して楽しかった世界選手権でした。
怪我をしたり休養したりして出ていない選手もいる中で、日本選手は十分な結果を出したと思います。
国別対抗で今シーズンは終わりとなりますが、来季もまた楽しくスケートが見られますように。
そんなことを思って締めくくります。