「しっかし、イケメン大集合やな。」
これ、以前お付き合いしていた男性が、フィギュアスケートのグランプリファイナルか何かをテレビで観て、つぶやいたセリフです。
もちろん男子シングル。時期は、確か、トリノの次のシーズンだったような気がします。
ランビエール、ジュベールがまだ元気にやっていたころ。つい一昨日引退試合を終えたベルネルあたりもいたかもしれません。高橋大輔も大けがする前のことでした。
言われてみれば確かにイケメンさんが多かったんですが、(女子としては「あるまじき」なのか?)フィギュアの男子選手に、それ自体独立した「見た目の美しさ」を求めていなかったハヤシは、「は~、そうなんですかねえ」と、あまりピンときておりませんでした(注:ランビエール様は見た目も好きでしたが、やはり、それは彼の芸術的な演技と相まってのことで、ルックスだけを取り上げて競技を理解しようとしない女子ファンは、個人的には見るものを間違っていると思う方です)。
しかし、今、もし彼が(いや、彼じゃなくてもいいんだが)、私の前で同じセリフを吐いたら、私は間違いなくこう言うでしょう。
「違いまっせ!!男子シングルは、オネエ大集合やで!!」
まず、「男子フィギュアでオネエ」の代表格といえば、言わずと知れたジョニ子こと、ジョニー・ウィアーです。
ただ、おそらく、彼のように薔薇しょって現れそうなわかりやすい耽美系(演技もまたウルウルの麗し系です)は、男子フィギュア界では、かなり珍しい。
これに近いオネエ系といえば、このブログでも取り上げた「純真乙女系」に属するジェイ子こと、ジェイソン・ブラウン。
彼の場合、普段のしぐさや語り口調はかなりわかりやすく女の子しているのですが、演技はジョニ子とは違って非常にパワフルで、耽美的な香りはしません。
男子フィギュアの主流は、おそらく「見た目的にあんまり疑いは持たれていないんだけど、その実、オネエ」という人たちだと思うのです。
最近観察していて、少しずつわかるようになってきました。
この主流派で一番有名なのは、おそらく、羽生ちゃんの師匠、ブライアン・オーサーでしょう。
なんせ、キムヨナの母親は、「オーサーはオネエだからヨナを預けても手は出されない」と考えて彼女を預けたって話があるくらいですから。
まあ、もしかすると、オーサーの場合、性的にホモセクシャルなだけであってオネエではないかもしれませんが、テレビで映っていないところでどうなっているのかわからないので、とりあえずオネエということにしておきます。
そして、最近、かなり確信に近いレベルで「これは・・・」と思った選手が二人ほどいます。
ひとりは、髙橋大輔です。
誤解がないように言いますが、私、彼の大ファンです。
彼がオネエでも何でも、彼の演技は、私にとって、歴代男子フィギュア選手の中でナンバー1です。
自分を正当化するわけじゃないですが、実は彼がオネエだという根強い噂が結構前からあるらしい。何しろ、女のうわさが浅田真央以外にほとんど出てきたことがないんですから。あれだけ、モテモテなのに。
彼がオネエだと確信したのは、ソチのフリーの後です。
演技を終えた彼は、いつものように丁寧に観客に対して最後のご挨拶をしていました。
そのときの、「ありがとうございました」と動く口元が、「ましたっ」とちょっと跳ねように動いていて、その跳ねに連動するように、小首が少し傾いたのです。
うおっ。
超絶かわいい・・・
そう思って、リプレイで彼の「ビートルズメドレー」を見ると、さわやかにたたえている微笑みもなんだか女神のように見えなくもない(まあ、それだけ神々しかったという意味でもあるのですが)。
もうひとりは、ハピエル・フェルナンデス。今回の世界選手権の銅メダリストです。
彼については、本当にノーチェックでした。オーサーの元にいると言うので、手籠めにされていやしないかと心配はしていたのですが、それだけでした。
が・・・今回の世界選手権のショートプログラムの後の彼のインタビューを見て、私は、「!!!」と一瞬声を失いました。
思えば、彼がインタビューに答えたのって初めて見た気がするのですが・・・なんて優しいしゃべり方。うつむき加減で、恥ずかしそうに、蚊の鳴くような声で話している。
こりゃもう絶対そうだ!!確信しました。
彼がオネエと思った時の衝撃は、かなり大きかったです。
私が気が付いていないだけで(世の大半の人が気が付いていないだけで)、男子フィギュアには、オネエ系選手は思いのほか、たくさんたくさんいるのかもしれません。
いやしかし、これって、無理のないことなんでしょう。
「オネエ」と呼ばれている人のすべてが、先天的にそのような嗜好だったのか、後天的に目覚めたのかはわかりませんが、ことフィギュア、特に「男子シングル」という種目に関していうと、そういう要素は、確実に成長させられていくように思うのです。
フィギュアスケートというのは、「技術」に加えて「芸術性」というものが求められる唯一無二のスポーツです。
「より美しく」「より豊かに」という方向性を突き詰めていくと、最終的に女性的な感性につながっていって行きやすいと思うのです。回避することは難しいのかもしれません。
そういう極みを見てしまった人は、おそらくそこからは引き返せないだろうし、それが当たり前になってしまいます。
しかも、男子シングルは、ペアやアイスダンスと違って、男子選手に「男性たること」が求められていません。
そうするともう、行くところまで行っちゃう人が大勢出てきてしまっても仕方ないし、ある意味そういう「ぎりぎり」のところで勝負している彼らは、なんというか、精神も感情もギリギリな状態で戦っているわけで、もう、どうしようもなく尊敬するしかないな、と思ってしまうのであります。
うーん。かくも奥深い、男子シングル・・・
ところで、ここで引き合いに出すとちょっとした誤解を与えてしまいそうなのですが、最近とても気になる女子選手にフランスのマエ・ベレニス・メイテという黒人選手がいます。かなりガタイもいい選手です。
こういう選手が「女性的な美しさ」重視の女子選手の中で戦っていくのは、技術はともかく「芸術性」という観点からは非常に難しいと思うのですが、彼女は、それを逆手に取る作戦に出ています。
氷上でロックを踊るのです。
かつて女子選手で、プリンスを踊った人がいたでしょうか?(いたかもしれんが私は知らない)。
こんなにがっつりよつでロックと組んだ子がいたでしょうか。
彼女にはこの先、大きな壁が立ちはだかるでしょう。ファイブコンポーネンツで評価されない日々が続くことになるのでしょう。
ジョニ子に審判の壁が立ちはだかったように。
でも、私は、彼女には諦めないでほしいし、審判団には「これも表現なのだ」と正当に評価してほしい。
フィギュアは、その人の全人格が出るスポーツと言われています。
採点という壁で、選手の人格を否定するような姑息な差別はしないでほしい。
フィギュアファンのハヤシは、そう思うのでありました。
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