2017年1月28日土曜日

帰ってきたコストナー。

この季節、全米選手権や欧州選手権など、フィギュアスケートは各国、地域のチャンピオンシップが目白押しです。

全米選手権では、ゴールドが女子シングルまさかの6位で四大陸選手権も世界選手権も出られないありさま。どうやら彼女はコーチとの関係もよくなかったようで、メンタルに影響が出ていたかもしれません(今シーズングランプリシリーズもいまいちだったしね)。

男子の方は、ネイサン・チェンが、SPもFSも4回転をバンバン飛びまくってほぼノーミスの318点越え。誰も追随できないぶっちぎりの点で優勝したのでした。

こりゃ、ネイサンは見とかなあかんだろう、と思い、本日やっとyoutubeで見ました。

さすがにあれだけ飛べば、技術点121点は順当だろうなあ、フリースケーティング。
演技構成点90点台というのがなかなかにアンバランスで笑いましたが(これだって相当高い得点のはずなのに…)。

やはり、大技に集中するとつなぎの技なんかがどうしても荒くなってしまうのだな、と改めて思いました。
全日本やスターズオンアイスの宇野君もそうだったけど(それ考えると、ルマンドゆずるは好き嫌いは別として、大技もある程度きっちり決めて点数稼ぎのつなぎの技もきっちり入れるんだから、やはりすごいんだよな、となんとなく感心してしまう)。

ネイサンは、元々スケーティング技術が優れた、どちらかというと演技構成点で稼ぐタイプの選手だったそうで(ジュニアのころはあまり知らないが、確かに今シーズン最初のころの演技を観れば、それはうなずけます)、そうするとシニア1年目のこの変貌は、ちょっとスケート関係者もびっくらこくくらいの凄まじさ、なんではないかと思うわけで。

個人的には、ネイサンに関して思うことは2つ。
前にも書いたけど、もう少し4回転を飛ぶ回数は押さえて、外れのない演技構成の部分を磨いていった方が、後々点の取りこぼしが少ない選手になれるのではないか。
あと、最近にしては珍しくパワーで飛んでくタイプなんで、迫力はあるけど、ジャンプが重い。伊藤みどりとか、男子だとストイコとかジュベールを思い出します。
そうすると、調子の波がやたらめったら大きくなるんだよなあ…ジャンプ1個ダメになったがためにすべての演技がダメになるという悪循環に陥りがちになるのではないかと、心配です。

ネイサンは、面構えやたたずまいが好きな選手なので、息長く頑張ってほしい。

さて、コストナーです。

先日、欧州選手権で本格復帰と聞いておりました。
本日、ヤフーニュースで銅メダルを取ったと知りました(メドちゃんが、連続ジャンプの回数違反をしたにもかかわらず、ついに世界最高得点を出して優勝というとんでもない結末)。
うれしくて、こちらも本日youtubeでチェック。

体つきがソチのころよりは、ややふっくらした感じ。
アップになったお顔を見ると、やはり多少年を取ったなあと。

しかし、演技自体は、芸術性が高く、ノーミスの、それはそれは優美で素晴らしいものでした。
ジャンプの難易度は結構落としていて、「できることを確実にこなして」プログラム全体を滑りきる
という戦略でのスケーティングでした。
曲もとても個性的で、いつもながら、「うーん、これはコストナーしか踊れないよなあ」という選曲でした。

感動しましたねえ。29歳でしょう、彼女。
競技の世界に戻ってきて、近年レベルが落ちているとは言われているものの、欧州選手権で銅メダルですもの。しかも、ロシア勢がズン抜けていて、ここ数年上位を独占してきたなか、3年ぶりの復帰で、です。
さらに言えば、一緒に表彰台に上ったのはティーンの女の子たち。

若いころ、大きな大会でジャンプが安定せず、期待された結果を残してこれなかった彼女とは思えない堂々としたスケーティングでした。

見ていて思ったのは、「自分が今できること」に対して過不足のない自信を持っているんだな、ということでした。
「自分が今できること」を確実にやっていけば、若い子がどれだけの技術を繰り出そうと、ルールがどんな風に変わっても、結果はついてくるという落ち着きを、彼女のたたずまいから感じました。

決して振り回されることのない「ゆるぎないもの」を自分の中に獲得した、とでもいえばいいんでしょうか。
29歳の貫禄は、世界最高記録を出したメドちゃんの輝きにも引けを取らんだろうと思えたのです。

で、そうなるとどうしても頭をよぎるのが、真央ちゃんのことなんだよな。

彼女、きっとコストナーと対極のところにいるんでしょう。
「自分が今できること」に対する自信が、まったくない。
トリプルアクセルの呪縛がそうさせているのだとしたら、それは真央ちゃんだけの問題ではなく、真央ちゃんに「トリプルアクセル」を期待していた、日本のフィギュアファンの責任も大きいのかもしれない、とさえ思うのですが。

とはいえ、ある程度スポーツを見ている人間であれば、ほとんどのスポーツには「年齢に見合った戦い方」というものがあることがわかります。
特にフィギュアスケートは、そういう色合いが濃いスポーツではないかと思うのです。
芸術と運動性が複雑に絡み合った、「ほんとにこれスポーツなのか?」というフィギュアスケートという競技は、内面からにじみ出る人間性で勝負できる部分も大きいのです。

やる以上は最高レベルのものを目指したいというのは、真央ちゃんがスケートを続けるうえでのゆるぎないポリシーなんだとは思うんだけど、トリプルアクセルやエイトトリプルを捨てた26歳、27歳の真央ちゃんに何が残るのか、ということも、すごく興味があるし、フィギュアファンであれば見てみたいところではあるんだよな。

コストナーの欧州選手権の演技が、苦しむ真央ちゃんに、今までと違う戦い方があるのかもしれないという思いを芽生えさせることができたらいいのにな、と、おばさんは、なんとなくそんなことを思ったのでした。

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