2017年2月19日日曜日

樋口新葉が、好きだ。

四大陸選手権女子シングル、なんとなんとなんと、大穴(と言っては失礼か)の三原舞依ちゃんがショートプログラム4位からの逆転優勝を飾りました。

直前に日本のエース宮原知子ちゃんが負傷欠場することになり暗雲が立ち込める中、ふあんを払しょくするような戦いぶりを見せてくれました。

正直、四大陸選手権の女子シングルは、男子シングルが世界選手権並みのレベルであるのとは対照的に、レベルの低さが際立っていました。
いかにロシア勢が現在の女子シングルのレベルを引っ張っているかを痛感せざるを得ない、そんな大会でした。

そんな大会の中、まあ、ずん抜けていたとは言えませんが、正確な技術を武器にミスをしなかった三原舞依ちゃんがショートでは首位と2点差以内の4位につき、フリーでも全くミスをせず加点の付くジャンプを連発して、初出場初優勝を飾ったのであります。

この結末、誰が予想していたでしょうか。
日本の二番手といえば、全日本選手権2位の樋口新葉。
宮原が出ないこの高い会で、表彰台に上がることを期待されていたのは彼女だったはずです。

が、新葉ちゃん、まさかの大崩れ。
ショートで転倒。
フリーでは連続ジャンプは全て決めたものの、簡単なジャンプですっぽ抜けの1回転や2回転。
ステップのレベルもとれていなかったようで、トータル172点台という彼女には考えられないスコアで全体の9位に終わってしまったのでした。

今、女子スケーターの注目は三原舞依ちゃんに注がれています。
新葉ちゃんの影は、非常に非常に薄くなってしまった。

しかし、ハヤシ、新葉ちゃん、なんか好きだなあと思いました。

キス&クライで人目もはばからず号泣して悔しがる。
競技後のインタビューでも、「いい子的コメント」を誘導して言わせようとするアナウンサーの質問に一個も乗らず、沈思して、自分が言いたいことしか言わない(いい子ちゃんコメントをしない)。
可愛く誠実に見せようとする選手が多い中(舞依ちゃんは芯からいい子だと思う)、仏頂面で言葉もぶっきらぼう。愛想笑いをしようとしない。

生意気で、いわゆるアンチも多い感じがする。

お顔にコンプレックスがあるのか、年の割に氷上でのメイクはかなりがっつりしていて、おそらくお目目にはアイプチを入れている。
妙に大人びて色っぽく、以前から言っているようにチイママ臭が漂います。

もう何年か前だったら、「わ~、嫌だなあ、こういう子」とか思っていたかもしれないけど、なんというか、ジュニア時代に「天才」とか言われていた彼女が、仏頂面を見せて号泣し、バキバキにメイクしている姿は、全身で彼女が「戦っている様子」を感じさせてくれるのです。

似たようなタイプのあんまりいい子でない選手といえば、安藤美姫を思い出しますが、新葉ちゃんの方が突き抜けてる感じがするんだよなあ。
安藤の若いころは、単にギャル的だっただけのように思えます。

ある意味、日本の女子フィギュア、今後は「女の世界」の縮図みたいになって面白いかも。
優等生の宮原ちゃんと三原ちゃん。
男受けがめちゃめちゃよい可憐でかわいい本田真凛ちゃん。
そして、異端で生意気な新葉ちゃん。

誰かが、今の日本女子フィギュアは、真央ちゃんや安藤ちゃんらが活躍する時代の前夜に似ていると言っていましたが、分かる気がします。

そう、バンクーバー前夜。
国民のアイドル真央ちゃんに、ギャル安藤、苦労人の鈴木あっこちゃんにまじめを絵に描いたような中野さんという個性的でタイプの違う選手らが、実力的に決して遠くない距離の中で戦っていました。

今の女子は、先にあげた4人に加え、久々にトリプルアクセルを公式試合で跳んだ紀平さんや、粗削りだけど爆発力がありそうな坂本花織ちゃんもいます。
最近の女子選手は「この人といえばこれ」というものが今ひとつないけれど(それは今のルールのせいだろう)、ふと考えてみると、日本の若い女子選手、めちゃめちゃ個性的です。

少し時間はかかっても、これからみんなで女子フィギュアを面白くしていってくれることを切に望むのであります。

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