2017年4月2日日曜日

おじさんがつらい時代の男子シングルになってしまいました。

凄かったなあ。

いやもちろん、世界フィギュアの男子シングルフリーです。
ショートのトップ3で順位を維持できたのが、宇野昌磨君だけというこの状態。

今日に関しては、羽生ちゃんは完璧でしたね(実際、連続ジャンプの2本目が2回転になっているのがあったんだけど、あれは敢えてだったのかな?)。
ショートの時は、顔つきがやばいことになっていました。
しかも、羽生ちゃん、スタートが規定時間内に行われずに1点マイナスされるというチョンボをやってしまった。
集中してるとかじゃなくて、なにか普通じゃない状態になってるオーラ満載で、こりゃなんかおかしなことになるかもしれんな、と思ったら、案の定5位スタートという…
いやもちろん97点台で5位スタートというのがそもそも異常なんだけど。

昨日の三原舞依ちゃんじゃないけど、羽生ちゃんにとっては、案外これがよかったのかもしれません。
もう自分の演技に集中するしかなくなって、で、今日の演技を引き出したわけでしょう。
いや、感服です。

今回のメダリストの共通項って、全員アジア人であることを除いて2つあるかなと思いました。
1つは、フリーで4回転を4回飛んでいる、ということ。
もう1つは、他の選手に惑わされなかったのかな、ということ。

ネイサンは明らかにメダルを意識していて、4回転6本というむちゃくちゃなプログラムになり、結果2回転倒してしまったわけです。

チャンとフェルナンデスは、4回転競争では後れを取っている。メダルをキープするには、プログラムを完ぺきにこなすしかない。その気持ちが演技を狂わせてしまった。
確かこの二人って、グランプリファイナルの時も、フリーで崩れたよな…
同じ崩れ方だったように見えるのです。

でも二人とも4回転2種類一応飛べるんだよ。
なのにそれで焦るって、やっぱり恐ろしい世の中になったものですよ。

チャンもフェルナンデスも、フィギュアの世界ではベテランの域にいるわけですが、ベテランがその持ち味を出して勝つのは、非常に難しい時代になったなあと思いました。
4回転をあれだけ飛ばれちゃ、演技構成点で追いつくにも限界があるわけです。
おじさん二人、後半は明らかにスタミナ切れだったしね…

しかし、じゃあ、4回転をバシバシ飛べれば上に行けるのかというとそうでもないということはネイサンが示してくれました。
やっぱり6回ともなると後半に行けば行くほど転倒のリスクが出てくるし、他の要素がおざなりになりやすい。演技構成点を稼ぐのしんどくなってくるのではないだろうか…
バレエの素養があるネイサンでさえ、グランプリファイナル以降の試合は、フリーの振付がかなり大味になっている...確かこのあたりから4回転の本数が増えたと思うのですが。

技術点(他の要素も含めた)と演技構成点のバランスとれるぎりぎりのラインて、少なくとも今の時点では4回転4回が限界なのかな、という気が素人のハヤシがなんとなく感じたところでした。
少なくとも今の技術レベルで高度な戦いをするための「バランス」とるとなるとこのラインになるような気がするのです。

ま、結果論ですが。

個人的には、宇野君の銀はもちろんのこと、金ちゃんの銅メダルがなんかすごくうれしかったんだよなあ。
アジア大会で彼を見て勝手に親近感を覚えたわけですが、今年あまり調子が良くなかったうえに、演技構成点を挙げようと試みているところで、きちんと最後に結果を出したんだよね、金ちゃん。
枠取りのプレッシャーもあったと思うけど、それを金ちゃん見事にやってのけたわけですよ。
中国は枠が2に増えました、すごいぞ、金ちゃん。

そして、ジェイ子が7位でした。
本当に美しいスケートだった。4回転が飛べなくてもここまでできるということを示してくれた。
心が洗われるスケートでした。

どうもミーシャ ジーが今大会限りで引退するようですが、彼はやはり限界を感じたんだろうな。
4回転が必要だけど、自分は飛べない。自分の世界観だけで勝負できる時代は終わってしまった…ということのような気がする。
じゃないと、オリンピック前年に引退しないでしょう。ウズベキスタンは、他に戦える選手いないんだから…

男子シングル、面白い戦いなんですが、若者だけの祭りになるとしたら、それはちょっと悲しいな。
そして20代の後半でおじさん扱いになるこの世界、怖いかもしれない。

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