2013年7月6日土曜日

安藤美姫に品行方正を求めてはいけない。

本日も引きこもりました。

例の風邪ですが、本当にもう咳が収まらなくて体力消耗しています。
「熱中症注意報」が出ているこんな日に外出したら、死ぬんじゃないかと思ったのです。
一応金曜日に病院に行ったところ、風邪自体は回復傾向であることが分かったのですが…

問題は今晩エアコンをかけずに寝るか、かけて寝るか、です。なんせ熱帯夜、ですから。

さて、世間は、安藤美姫が未婚の母になったニュースでにぎにぎしい感じになっています。

「父親は誰か?」がもっぱらの関心事、と思いきや、未婚の母になったことそれ自体、「常軌を逸した報道はやめてくれ」とブログに書いたことが非難の的になっているようで。

こういう反応を見るにつけ、安藤美姫って、やっぱり今でも「日本女子スケート界のヒール役」なんだわと、なんとなく感心してしまいます。
ま、女に嫌われるタイプの女の子ですね。

安藤美姫は、国民のアイドル浅田真央とは、言うまでもなく対照的なタイプ。影と光、月と太陽、みたいなもんでしょうか。
実はこの人、世界選手権で2回優勝しているし、銅メダルも取っている。浅田真央に勝るとも劣らん成績を残しているのですが、いまひとつ、マスコミの受けも悪いし、女子や年長世代からもよく思われない。

それはひとえに、トリノオリンピックのころの、いかにもギャル的でアホっぽいルックス、一時期受けていた特別対応、なかなかにけばけばしいメイクやネイルなどが、「健全であるはずのスポーツ選手」にふさわしくないという評価をされているからなのでしょう。

あるいは、女の側からすると、かなりKYで男遊びも激しそうで、自分の彼氏を平気で取っていっちゃいそうな匂いを感じさせるのではないかと思います。

浅田真央が、年齢の割に純真無垢で今でもピュアな雰囲気を全身から溢れさせているのとは大違いです。

確かに嫌われる要素満載の安藤さんですから、今回のことも鬼の首でも取ったかのようにやいのやいの言われているのわからなくはないのですが、個人的には、

安藤がおとなしくなっちゃったら、つまんないじゃん

と、思います。

日本の女子スケートの選手って、(村主章枝は置いておくとして)みんな判で押したように、純情可憐あるいはスポーツマンタイプで、大人に反抗しそうにない人ばっかり、ですよね。
で、演技も、情感は出せても年相応の色っぽさや情念を出せる人は、ほとんどいません。

ここ数年の安藤の演技は、「天城越えかい」と突っ込みたくなるような情念たっぷりの「艶技」で、迫力という点においては、真央ちゃんや鈴木明子、荒川静香なんかを遥かに上回っています。
ミッツ・マングローブが、(モロゾフとの関係が氷上に表現されているという意味で)「氷上の公開プレイ」と言ったのもうなづけます。

「4回転ジャンパー」という呪縛でがんじがらめになっていた安藤が、自らのイメージを変えるためには、これくらい振れ幅が大きな演技をすることが必要だったわけで、それを可能にさせたのは、元々持っていた自由奔放さ、自分が女であることへのこだわり、だったのではないかと思うのです。

浅田真央が、「表現力を身に着けた」「ファイブコンポーネンツで稼げる選手になった」と言われつつも、どこかまだトリプルアクセルを引きずって中途半端な演技に終始しているのは、安藤のように「本能」「煩悩」に忠実なところがないからだと思うのです。

ここまで書いておいてなんですが、私は浅田真央ちゃんの大ファンです。
浅田真央ちゃんのプログラム、大好きです。

ただ、安藤のプログラムの中にも結構好きなものがあったりします。

バンクーバーの時の「ラムちゃん」衣装のあの曲はいただけませんでしたが、例えば、彼女の「カルメン」はとても良かった。女の情念が演技に出始めたころ、でしょうか。
一部では、「ビットに対する冒涜」なんて言われ方していましたが、ビットとは違う強気なスペインの女を見事に演じていました。
世界選手権では肩を脱臼して最後まで踊れなかったのが残念なくらいでした。

驚異の5連続ジャンプを後半に盛り込んだ2011年のフリー「ピアノ協奏曲イ短調」も、ジャンプばかりが話題になっていましたけれど、勇壮な曲の雰囲気を体全体で表現していて、非常に良かった。
ノリに乗っている彼女は、理屈ではなく、体全体で世界観を表現できる稀有なスケーターです。
顔芸と1種類の高難度連続ジャンプに頼る韓国のお姫様とは役者が違うのです。

スケート選手で名をはせた人の中で、私生活が落ちぶれてしまった人やお騒がせな人は、少なくないものです。

例えば、リレハンメルの金メダリスト、オクサナ・バイウル。彼女は金メダルを取った後、アルコール依存症になったとか。
アメリカのタラ・リピンスキーも同じく、アルコールだったか薬物依存に走ってしまった。
トーニャ・ハーディングはヌードビデオが公開されたり、ナンシー・ケリガン殴打事件に関与したと疑われていたり(若い人は、ウィキしてください)。

要は、「表現型」スポーツというのは精神の安定を図るのが非常に難しいもので、精進して精進して若くして成功をつかみ取ってしまうと、その後の身の振り方を間違えちゃうこともあるし、逆に周りが甘やかしすぎると、誰が見ても「痛すぎ」な事件を起こしてしまったりするわけです。

安藤なんてかわいいもんじゃないですか。
だって、恋愛して子供ができて、生んだだけでしょ?
(仮に父親が噂の南里君だとしたら)25歳にして、未婚の母になれるだけの甲斐性があったってことでしょ?

そこまでの根性を積み上げてきたスケーター人生を送ってきたんだから、何にも知らない外野の人間がやいのやいのいうことでもないんじゃないのかなというのが、林の感想だったりするのです。

「超セレブと結婚して引退」なんてことしてくれるより、よっぽどへたくそで不器用な人生ではないですか。

子供を産んで、「びっくりするほどの妖艶演技」に何が加わるのか、今年の秋冬は、ちょっと楽しみだったりします。




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