2015年4月29日水曜日

金の切れ目が、縁の切れ目。

久々にフルに近い感じでお休みしているハヤシです。

昨日、夜の時点で、「おし、明日こそ(ほぼ)休も」と決めました。
昨日の時点で、ひとつ終わった事件があったのです。
というか、終了させざるをいけない事件・・・と言った方がよいか。

3週間ほど前にとある刑事事件を受けました。
その事件は、結構巨額のお金が絡んでいる事件で、友人のつてで弁護を引き受けてくれ、と依頼されたわけです。
わりかしその手の業界では有名だったらしいその会社。
しかし、内情は火の車。関係者の話を聞くと、なんで破産してないんだというくらい、ひどい状況でした。
関係者は、ワタシ一人の弁護士費用を出すのもやっとこさっとこでした。

昨日、再逮捕されました。
最初にもらっているお金は事件1件分のお金。
2件目でもあるので、セット割引価格でかなりおやすい値段を提示しても、関係者からは、出せないという返答。
お金がないなら、国選の弁護士に頼んでもらわざるをえない。
そういうわけで、辞任しました。

私の最後の仕事は、彼の承諾をとってスムーズに辞任することでした。
私選(つまり当人や関係者との契約によって就任する場合)の弁護士がついてる限り、国選の弁護士は付けてもらえないというルールがあるからです。
彼の事件は重大事件。一刻も早く、次の弁護士を付けねばならん。
手続には少なくとも2日間くらいかかっちゃう。今日中に出さなあかん!!
昼間、どうしても抜けられない仕事を抱えていたので、夕方以降、こう動いてああ動いてと考えながら、ハヤシは心底焦っておりました。

一方、専門的な話になりますが、国選については、原則として、容疑がかけられている人は、自分の好きな弁護士を選ぶことができないというルールがあります(このルール自体が合理的かどうかは、さておきます)。
で、我々の業界、大して仕事もせずに規程の料金をもらって食いつないでいる「国選族」なる不名誉な名前で呼ばれる弁護士も少なくない。つまり、国選の弁護士は「当たり外れ」があり、しかも、「はずれ」くじに当たると、本当になんにもやってもらえないという憂き目に被疑者被告人のみなさんは遭ってしまうわけなのです。

で、まあ、私が担当していたその方(会社役員ですな)、とりまきが弁護士費用を工面できないといったことに納得せず、私の続投を執拗に望んだのです。

「数十万の金くらい、作れるはずなのに」
「○○のカードでキャッシングすればいい」
「ある中で考えようとするから捻出できない」

同族会社に近いこの会社。彼が捕まったおかげで、取引がいくつかなくなり、家族の収入がほぼ途絶えた状況になっている。
当てにしているカードだって、聞いたところ支払いが遅れたので、既にブラック扱い。借り入れも買い物もできない状況になっているのは、ハヤシ、確認済みでした。

さらに、「来月末になれば、**との取引で○○円くらいの金が入ってくるから、それで」と、「捕らぬ狸の皮算用」とはまさにこのことみたいなことを言い出す始末。
実は、この手の話にたやすく乗って、ただ働きさせられる弁護士が、私たちの業界にはたまにいるのです。

しかも、今回仮にお金が数十万用意できたとしても、今後裁判になった場合の弁護士費用はどうせ出せない。これも専門的な話になりますが、裁判になると検察官が出してくる証拠を入手するためには謄写(コピー)の手続をとらねばならず、これが人件費込みで、なんと白黒1枚45円もするのです。
今回の事件、おそらく少なく見積もっても、2000枚くらいの証拠が出てくる可能性が・・・
(ちなみに国選だと全て国持ちになり、事後的に補填してもらえます)。

こいつ、なんにも分かってねえな。私の中の堪忍袋の尾が、ぷつっと切れる音がしました。
そんでまあ、

あなたが捕まったことで、取引が切れて会社の収入は止まっています。
なにがしかのお金はあるかもしれないけど、今後の生活考えたら、ご家族が、そのお金プールしようとするのは当然でしょう。
あなたが金は作れるはずだと言っても、スポンサーが作れないと言ってるんだから、私は引き受けようがないんですよ。

それにね、いついつになったら、みたいな不確実な話で私は仕事は引き受けられません。結局そのお金入ってこなかったら、ワタシはただ働きになるわけですよね。
ワタシもね、この仕事で生きてるわけですよ。
そんなもらえるんだか、もらえないんだかわからないお金提示されて、今後の仕事なんて、でっきるわけないじゃないですか。

さらに言えばね、結局その場しのぎですよね、あなたのやり方。
裁判になったら、もっとお金かかりますよね。仮に今数十万出せたとしても、裁判のお金用意できなかったら、その時点でまた同じ話出てくる訳じゃないですか。
だったらここいらで覚悟決めるしかないでしょう。

ここまで言ったところで、先方、プチ切れしました。
「再逮捕されて心が折れそうなのに、今、先生にそんなこと言われたくないですっ!!」

どうやら、ワタシの性格を3週間でご理解いただけなかったようで・・・この言葉はさらにワタシの怒りに火をつけちゃいました。

「そんなこと言ってる場合じゃないですよね。あなたが聞きたかろうが聞きたくなかろうが、言わなきゃいけないことは言わせてもらいます。」

ワタシは、依頼を受けてからの3週間、ほぼ毎日、この方の面会に行っていました。

「接見禁止」という弁護士以外には誰にも面会できないという処分がつけられていたので、会社の仕事に関する事務連絡なんかを伝達するためにも、それは必要なことと思い、通っておりました。
面会時間はいつも長時間に渡り、1時間半から2時間あまり。
この仕事のために、他の仕事に遅れが出るという事態にもなりました(まあ、これはワタシの能力不足もあるんだろうが)。

はっきり言って、今回の件でワタシがもらっている弁護士費用は決して高い金額ではございません。ハヤシ、そんなぼっちゃう弁護士ではありません。
今回のワタシの働きを見たら「倍もらっていいだろう」という同業者もいることでしょう。

まあ、だからこそ、ハヤシに今後もついてもらいたいという意向があったのかもしれませんが、こっちにしてみりゃ「ヒトばかにすんのもいいかげんにしろや」と言いたくて言いたくて、も、しょうがない。

ワタシだけのことじゃあないんです。
家族のこと。
会社のこと。
「オレがこうしたい、こうしろと言ったらそうなるはずだし、そうしなくちゃいけない」というその発想自体が、非常に許せんな、こいつ。
つくづくそう思いました。
一言でくくると、「ワンマン社長」ということになるんでしょう。典型的なんでしょうね。

「弁護士は金のためにやるんであって、依頼者のためにやるんではない」とよく言われますし、刑事なんかは否認している容疑者を落とす場合、よくこの言葉を使うらしい(つまり、弁護士の言うことなんか聞いたら損だ、と言いたいらしい)。

はっきり言いましょう。
金の切れ目は、縁の切れ目だよ。
弁護士だって仕事なんだよ。
金が切れて仕事を切ってどこが悪いんだよ。
そりゃね、基本的なお金をもらっていれば、「ま、ここはもらわないでやっていいか」とサービスでやる部分だってあります。
しかし、それはお客次第。
図に乗って、ただ働きをさせようとするだろうお客には、そんなことできませんから。

そんなこんなで、後味悪くひとつの仕事が終わりました。
昨日夜、彼を何とか説得して承諾を取り付け、辞任届を夜9時すぎにしかるべきところに提出で、ジ・エンド。

ワタシにとっては、この仕事、相当重荷だったらしいです。
今朝起きたら、体の裏側と関節に一挙に、ヒドい凝りと痛みが発症していました…

もー、明後日からは休むぞー!札幌で!!
あ、幾つか持ってかなきゃいけないんだった…



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