3月15日日曜日。大相撲春場所中日です。我が推しの若元春は初日から7連敗でまだ1勝もしていません・・・これは負け越し必至だなと覚悟を決めています。しかし、負け越してもひどい結果にはならないよう後半戦に期待したいと思っています。
さて、最近ちょっと仕事でイラッとしていることがあります。あまり詳しく書いちゃうと特定されてしまうかもしれないので、慎重に書きますが・・・
半年くらい前だったでしょうか、以前いた事務所の後輩が息せき切って私のところにやってきて「億単位の金が動く可能性がある事件が入ってきそうなんで一緒にやってください」と言ってきました。
私も経験がありますが、個人間で億単位のお金が動きそうな件でろくなものってあまりないんですよね・・・嫌な予感がしましたが、あまりやり慣れていない分野だったらしいので、私は事情を聴いて一緒に関わることにしました。
依頼を受ける前に、一度一緒に相談に入ったのですが、話を聞いていると依頼者がとても心許ない人でした。相手方は家族なのですが、おそらく相手の方についていることが透けて見える息子に色々言われるとすぐなびいていく感じ。
結局、私たちに着手金を払った後、息子がなんとかしてくれそうと言って、一度連絡が途絶えてしまいました。
そして2か月くらい経って、やっぱりうまくいかなそうなのでこちらにお願いしたいと言ってきて、法的手続をとったのですが、その後も相手方は息子を通じて依頼者にコンタクトをとってきてなんとか懐柔しようとする。
息子にほだされる彼女は、法的にとれる額の3分の1にも満たない金額で「これでいいからまとめて欲しい」と言い出したのです。
私は、後輩に「あちらに対して本人に直接連絡取るなって厳しく言わないとダメだし、簡単に手続を取り下げてはダメだ。依頼者にも弁護士が入っているから直接話せないと息子に言うように諭せ」と何度も言ったのですが、後輩は、3分の1でも「億」が入ってくる案件を逃したくないのか、とにかく対応が甘い。相手方の機嫌を損ねないよう、そして依頼者も自分から離れないよううまく着陸しようと画策しているのですが、結局息子から「支払っても良いけど、弁護士の預り金口座ではなく依頼者の口座に直接振り込みたい」と言われる始末。
弁護士にとってこれは結構まずい話で、まず報酬を取りはぐれるかもしれないおそれがあります。通常は、相手が支払うお金は弁護士の預り金口座に入れてもらって、そこから報酬を差し引いて残金を依頼者に渡すことになるのですが、それができないので、報酬をブッチされる恐れがあるのです。
それから、弁護士の預り金に入れなければならないとなると、相手方は緊張感があるので、支払いを怠ったりしないでしっかり期限通りに払ってきますが、そうじゃないとなると非常にルーズにされる恐れがあるのです。
今回私は、相手の狙いは弁護士を外して、すぐにおもねる依頼者と直接やり取りして、最悪結局お金を渡さないで済むような方向に持っていこうとしているのではないかと思うのです。
そして、仮にそうじゃなかったとしても、私は依頼者のことをあまり信頼しておらず、結局息子にたきつけられて、報酬を支払うのをブッチする気がしているのです。
煮え切らない後輩は、この件でも相手の言うことをそのまま聞こうとしていたので、私は「もしそうするなら、依頼者から絶対に報酬振り込むっていう誓約書をとった方が良い」と言いました。そうしたら何を思ったのか、後輩は依頼者に「報酬支払いを約束する公正証書を交わして欲しい」と伝えてしまって、「そこまで信用できませんか」と依頼者に逆に不信感を持たれてしまったわけです。
この報告を聞いて、私は「公正証書はやり過ぎでしょう」と言ったのですが、その点についてもあまりピンときていないようでした。
要は、相手方に反発しないで軟着陸しようとして、依頼者にきつく出過ぎるという非常にバランスの悪いことをしてしまったわけです。
そもそもこの後輩、最初の時点で「着手金も成功報酬も折半」と言ってきたにもかかわらず、法的手続をとった後、私にこう言ってきました。「相手との交渉も調停の申し立ても自分がやっているので報酬の配分は7対3で良いですか」。
いやいや、先輩に声かけて一緒にやってもらってる立場でその言い分はないだろうと言いかけましたが、わたしはそもそも半分もらうつもりはなかったので、そこは「いいですよ」と引きました。
実は、この後輩については少し気になることがありました。
以前の事務所で受けていた事件ですが、私の退社直前、とある会社から持ちかけられていた強制執行の件について、東京にいる代表と相談して法外な着手金を提案していたようなのです。
私は少し相場よりも低く事件をやってしまう癖があるのですが(相手が気持ちよく払えるお金でやった方がトラブルになりにくいと思っている)、それにしても高すぎだろと思う金額でした。それにその強制執行処分が功を奏する可能性はそれほどなかったのです。
そうしたところ、その会社からの連絡は途絶えてしまったそうです。そりゃそうだろと思いました。結果が全く約束されていない件についてふっかけすぎたのです。
そういう、なんというか、お金にこだわる、固執しすぎる癖が彼にはあるなと思ったのでした。
今回の件を受けるにあたっても、事件が始まる前から浮き足立っている彼に対して、私は「そううまくいかないから」といさめていたのですが、まさにその通りになりました。
というか、私であれば「お願いする」と言った後依頼者が息子との交渉を選んでこちらを放置した際に辞任しておいたと思うのです。まあ、百歩譲ってこの時点で辞任しなかったとしても、「息子ともう話さないで欲しい」とこちらが伝えているのに、何度も話してほだされている時点で辞めるべきだったと思うのです。
そこを金に目がくらんでずるずる続けてしまい、かつ、相手にほだされずに淡々と法的手続を進めるということもできなかったために、こんな情けないことになってしまったのです。
この後輩は弁護士としては3年目ですが、社会人経験があります。もう少しわきまえていても良さそうなものですが、全然ダメでした。
というか、今回の件は彼が手を出すには経験が浅すぎたような気もします。もっとベテランの弁護士がついていれば、相手方も畏怖感を持って、弁護士を飛び越えて依頼者と接触するようなまねはしなかっただろうし、まして、弁護士の預り金口座にお金を入れたくないなんて言わなかったでしょう。
そう、彼は相手からも依頼者からもなめられていたのです。
そういう意味ではいい薬になったかもしれません。
私は新人の頃に裁判官になめられたことはありますが、不思議と依頼者や相手方からなめられたことはありませんでした。ハラスメントの権化みたいな相手方とその弁護士に嫌がらせをされたことはありますが、裁判官や調停委員を味方につけて不利益を最小限に抑えていました。
なので、いくら新人でも、弁護士であるにもかかわらず、ここまでずるずるとろくなことをやれないというのが、ちょっと信じられないのです。
私は先日彼にはっきり「お金に目がくらんですべきことができていないように見える」と伝えました。「肝に銘じます」という返信が返ってきましたが、実際どう思っているやら。
もし依頼者の方から「(報酬支払いの約束について)公正証書を交わすのは嫌だ」という回答が返ってきたら、その時点で辞任すると言っていました。確かにそれが潮時でしょう。
もし、そうはっきり言ってこなくてもまた長期間連絡がなくなれば、その時点で辞任すべきだと思います。
お金に目がくらんで辞めるべき時期をこれ以上見誤ってはいけないと思います。
私は、大きな金額の事件にはあまり縁がなくここまでやってきました。億単位のお金が動く事件は一度しかやったことがありません。数千万単位のお金が動く事件は数回やったことがありますが(しかも、報酬は事務所に入った)。
しかし、それで良かったのかなと思います。特に経験が浅い段階で大金が動く事件をやると、習ってきたはずの「事件処理の基本」を忘れてしまうのだなということを、後輩を見てひしひしと思いました。
こつこつと確実に生活の糧を得ていくのが外れも失望もなく良いのかもしれません。
そして今後億単位のお金が動く事件が万が一舞い込んできても(たぶんない)、彼のようなことには絶対にならないようにしようと心に決める私なのでした。
ではでは。
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