2014年12月15日月曜日

町田君に見たフィギュアスケートの真髄

選挙が終わりました。
直前になって、自民党単独で3分の2行くんじゃないかという驚愕の情報が流れましたが、ふたを開けてみると、公明党も含めた与党で3分の2は行ったものの、自民党単独だと現状維持か、ひょっとすると若干減らすかも状態。

要は、投票率が低かった分組織票が固い公明党が伸びちゃっただけという結果だったわけです。
アベノミクスが続いていくのかと思うとウーンだけど、憲法改正→アメ公にくっついて戦争参加という最悪のパターンだけは当面回避できたかもしれず、ほんのちょっとだけほっとしたハヤシなのでした。

さて、テレ朝は、選挙ステーションの前にグランプリファイナルの男女シングルのフリーをきちんと放送してくれました。
そして、選挙ステーションがほぼ20時から、開始時間を早めすぎると視聴率が悪くなるというプレッシャーのおかげで、2時間20分というコンパクトな時間に編集してくれたため、無駄なものを見せられることもなく、試合をきちんと堪能することができました。

まあ、試合結果自体は、羽生ちゃんの圧勝でした。
つまんね~。
いや、羽生ちゃんはうまくなった。スケーティングの技術もべらぼうに上がったし、表現力もついた。地位が人を作る、という言葉がありますが、オリンピックチャンピオンになったせいか、風格が出てきて、緩急のある指先まで行き届いた演技ができるようになりました。

が、しかし…フリー後のキス&クライでのあのはしゃぎっぷり…自分の何が人気のもとなのか計算ずくで見え見えなんだよなあ…
選手として凄くても、いまいち好きになれない羽生ちゃん、だったりするのです。

ま、それはさておき。
羽生ちゃんはうまかった。優勝は当然。
が、感動はしなかった。きれいだけど、鬼気迫るものを感じなかったから。

私は、今日、町田君の演技を見て、目頭が熱くなりました。
体調が悪かったという言葉通り、ジャンプにキレがありませんでした。
何回も何回も転んだ。
しかし…いや、だからこそかな?あの第九の真の良さが見えた気がしたのでした。

町田君は、ミスが続いても、懸命にプログラムの世界観を表現しようと滑り続けました。
そして、あの第九のプログラムは素人目にもわかるくらい、過酷なプログラムです。休んでいるところが一個もありません。
もがき苦しみながら舞い続ける姿は、耳が聞こえない苦しみのなか、曲を作りづけたベートーベンの壮絶な苦しみを思わせました。
ベストコンディションでなかったからこそ、町田君が目指した第九の世界を表現できたんじゃないのか…そんな気持ちにすらさせられました。

なんだろう…すごく、よかったです。

そして、ハヤシは確信してしまいました。これこそが、フィギュアスケートの真髄なのだと。
思えば、ソチオリンピック。
高橋大輔は、ろくにジャンプが飛べませんでした。
なのに、圧倒的な表現力とステップワークで、見る者をうっとりさせました。
あの微笑みをたたえた表情は、まさに、あのビートルズメドレーのコンセプトを表したもので、ハヤシ、真夜中に一人、号泣してましたもん…

完璧に滑ることだけが能じゃないのです。
たとえミスがあっても、連発しても、滑る姿をさらすのがフィギュアスケートなのです。
それでも、見る人を感動させられるのがフィギュアスケートなのです。
つまり、自分の生きざまが表現できて、初めてフィギュアスケートなのです。

町田君の今日の姿を見て、彼は、大輔と並ぶ、真のフィギュアスケーターなんだなあと感じました。

羽生ちゃんは、コーチの方針もあるんだろうけど、「勝つ(=金を得る)」ことに主眼を置いてやっている分、そういう、ピュアな部分が見えないというか、あざとさが匂って来るんだろうなと思うのです。

思えば、ジョニ子もそういう意味では真のフィギュアスケーターだったんだろうなあ。
ランビエールもそうだったんだろうなあ。

とはいえ、やはりミスなく完璧に終わり、リンクを去るまでうっとり自分ワールドに浸っている町田君も見たいので、全日本までには体の調子治してね、という感じです。

さて、今シーズンの町田君のプログラム。実は、ショートプログラムも結構好きなハヤシです。
「ヴァイオリンと管弦楽のための幻想曲」…ロマンチックな曲調で、もう、雰囲気は、悲恋悲恋悲恋…
悲恋を生きる男性を、ものすごーくドラマチックに踊る町田君。その世界観は、なんですか、往年の少女漫画、ベルばら的な感じで、あれを恥ずかしげもなく今の時代にやっちゃうところが、なんかすごいなーという。

最後の決めポーズなんて、もう、池田理代子ワールドそのものですよ。後ろから突然真っ赤なバラ100本くらい生えてきても驚かないレベル。

昭和の時代の少女漫画に慣れている四十路女としては、(町田君そのものではなく)あの決めポーズにキュンとなるのでした。

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