2013年4月28日日曜日

おいしいスパゲティを探して

我が故郷の札幌には、かつて、さっぽっこの多くが知っているスパゲティの名店がありました。

1軒は、「カラカラ」という名のスパゲティ屋さん。狸小路6丁目商店街のちょうど真ん中あたりに、静かなたたずまいで営まれているお店でした。
ご夫婦二人のお店で、調理はご主人、ホールは奥様が担当。
毎日食べても飽きない、普段着のおいしさが人気のお店でした。
私が司法試験に受かった年に、惜しまれつつ閉店。

もう1軒は、「モンシェルトントン」。「カラカラ」よりももう2丁ほど西にあるお店でした。マンションの1階にあるこじんまりしたお店でしたが、お客さんが絶えることはありませんでした。
「カラカラ」とは対照的に、ちょっと癖のある味付けで、正直なところ好き嫌いは別れましたが、病み付きになる味付けの物が多く、よく通っていました。
ここも、3~4年前の5月に閉店。

私は無類の炭水化物好き。特にご飯とスパゲティが大好きです。
「パスタ」ではないのです。
「スパゲティ」なのです。

要するに、妙にイタリアンな、オリーブオイルやニンニクを多用したおしゃれな小麦の麺を求めているわけじゃあないのです。リングイネだの、タリアテッレだの、どうでもよろしいのです。
昭和の味を引きずった「ママー」な情緒漂う、日本人による日本人のための小麦の麺、それが「スパゲティ」なのです。

2つのお店は、味付け自体は対照的であったけれど、仕事の帰りに、友人や家族とのちょっとした食事に、「あ。食べに行こうかな」と思う、そんな普段着の「スパゲティ」のお店でした。

この2つのお店の代わりになるお店は、なかなか見つかりませんでした。

名古屋には、名古屋人のためのご当地スパゲティ「あんかけスパゲティ」があります。
説明せよと言われても筆舌しがたいのですが、とにかく、独特(注:あんかけ焼きそばのあんとは全く違うあんが乗っています)。
庶民の味ではあるし、わりに気に入ってはいたけれど、私が求める「スパゲティ」とは違う。

東京に出てきても、目につくのは、イタリアンな店構えの「パスタ」のお店や、妙に和風を気取ったお店ばかり。
お願いだ~、普通のスパゲティを食べさせてくれ~ともはや悶絶にも似た気持ちを感じ始めていた矢先…

見つけたのです。
昔ながらの日本人のためのスパゲティを出すお店を。

それは、恵比寿駅から歩いて5分ほどのマンションの1階。
とても古そうなお店です。
何度か前を通り過ぎて、興味を持っていたのですが、先日思い切ってトライ。夕食を食べに行きました。

人の良さそうな50代のおじさまが迎えてくれました。
店内は、木目調の、ちょっと昔の喫茶店的な雰囲気。
テーブルが広くて、なんだか落ち着きます。
サラダとドリンクで1050円のセットのスパゲティが約8品。
豚肉と野菜の塩味のスパゲティのセットを頼みました。

ここだ!!と確信したね。

サラダは、新鮮な野菜に、酢とサラダオイルで作ったような昔懐かしいシンプルな味のドレッシング。
そして肝心のスパゲティは、まさに普段着の毎日食べられる味付け。隠し味のしょうゆが効いています。

「カラカラ」や「モンシェルトントン」のような洗練された店内ではありません。
私がいた時に来たお客は、全部おじさん。
でも、おじさんが安心してこられるお店は、すなわち「ジャパニーズスパゲティ」のお店の証なのです。

これだけでも事務所変わった価値がありました(って大げさか)。
きっと、ぽつぽつ通うことになるんでしょう。
いつの日か「いつもありがとうございます」なんて言われることを、心待ちにして。



ところで、本日、来訪者が延べ1万人を超えました。
今後とも、よろしゅう。

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