2014年1月18日土曜日

チンピラジャニーズ、最後の花道。

NHKを見ていると、気分はどんどんソチモードになっていきます。
でかい裁判抱えている身だというのに、困ったもんです。

今日も昼は、全日本卓球選手権やってたし(冬のスポーツではないですが)、夜は女子のジャンプやってたし、見なくちゃいけない番組ばかりで、大忙しです。

今週の水曜あたりからだったでしょうか。
大晦日の深夜(というか日は変わって元旦になってから)、NHKのBS1で夜通しやっていた、フィギュアのソチ代表のNHK杯コレクションを数日間に分けて放送していました。

昨日は高橋大輔のをやっていて、9時すぎに帰宅した後、遅めの夕食をとりながら、録画したものを見ていました。

これくらい若い頃からコンスタントに活躍し、びっくりするような進化を遂げてきた選手というのは、世界中探してもいないんじゃないか?

高橋大輔という人は、歴代の世界中の男子フィギュアスケート選手のなかでナンバー1だと信じて疑わないハヤシですが、彼の若い頃からの演技を見て、その思いをまた新たにしました。

思えば、シニアにあがったのがかなり若かったこの人、苦労の連続でした。

本田武史と一緒に出た世界選手権で、翌年のトリノオリンピックの日本の出場枠を2から3に増やせという使命を負っていたのに、本田武史が負傷して途中から欠場。大輔はプレッシャーに押しつぶされて枠を増やすどころか1に減らしてしまうという大失態を演じました。

そのトリノオリンピックでは、メダルを期待されながら8位入賞どまり(あの時点でメダルとかいう周りもどうかと思うが)。

バンクーバーの1シーズン前には、靱帯を切ってシーズンすべて欠場。大事なシーズンを棒に振りました。

その翌年の世界選手権では、なんと織田信成と同様、競技中に靴ひもが切れるアクシデント。

そして、今回も全日本を前に骨折一歩手前の大けが。

そういうものを乗り越えて、オリンピックのメダル、世界選手権で数度のメダルを獲得してきた苦労人選手なわけです。

トリノ前後あたり、この人、「チンピラジャニーズ」とか一部に呼ばれていました。

確かに、面構えなんかはかなりチーマーな感じなのに、羽生君負けらかしのぴらぴら衣装に身を包んでいて、ちょっとやんちゃな顔つきなのにアイドル衣装を着せられちゃってるジャニーズのメンズの雰囲気がどことなく漂ってはいたのでした。

スケーティングやステップは、さすが超絶的でしたが、まだ動きが硬くて緩急の付け方が単調だったこのころ。

その演技が一変したのが、バンクーバー前の負傷から復活したシーズンでした。

2007年のNHK杯と2009年のNHK杯を連続して見られるので、違いはもう一目瞭然でした。

2007年まではできていなかった「ためる」演技、手先まで神経の行き届いた振り付けなどが、2009年にはばっちりできるようになっていたのです。

そして、バンクーバーでメダルを取った後は、さらに「踊り」に磨きが掛かります。
誰も挑戦したことがないジャンルの楽曲に果敢にチャレンジしていきました。

永遠に語り継がれるであろうマンボ。そしてブルース。残念ながら途中でプログラムが変更になってしまったロカビリー。
思えば、負傷前も、ヒップホップの「白鳥の湖」にチャレンジするなど片鱗はありましたが、メダルを取った後は、なんだか突き抜けたように、いろんな曲にチャレンジするようになりました。

そして、そのどれについても、ともすると「クラシック」と「映画音楽」のイメージが定着してしまいやすいフィギュアスケートの世界で、何の違和感もなく自分のものにしてしまって、ひとつの完成された作品にしあげていました。

顔の表情も大げさに作っているわけではないのに、曲の雰囲気に合わせて顔つきが変わるという微妙な演技も板に付いてきました。

思うと、バンクーバー後のチャレンジって、「音」「雰囲気」を体現するという明確な目的の元で計画的に組み立てられてきたものなのかもしれません。
それが今年の2つのプログラムにつながっているように思うのです。

ショートプログラムの「ヴァイオリンのためのソナチネ」では、「深い悲しみとその中の小さな希望」というかなり抽象的なテーマを体現しているし、フリーの「ビートルズメドレー」では、「音」を徹底的に表現しています。

オリンピックという大舞台では、観客を盛り上げて審判の心を揺さぶろうという作戦が採られがちで、煽動的な曲がよく用いられます。

なのに、大輔の選曲はどちらも極めてシンプル。
ついでにいうと、衣装も極めてシンプル。
よけいなものをすべてそぎ落として、自分の演技を堪能してくださいと言っているかのようです。

チンピラジャニーズから、誰もがオリンピック出場を歓喜した、愛される「高橋大輔」への変貌を、この人は、ほんとにほんとにいろんなヤマサカを乗り越えて、ゆっくりゆっくり遂げてきたのだなあなんて、スケートを堪能しながら、勝手にジーンとなっていたのでした。

年末に見た「スポーツ酒場語り亭」で、ゲッターズ飯田が占ったところによると、男子フィギュア3人衆の中で、一番本番の調子がいいのは高橋大輔なんだそうで。
期待は否が応でも高まります。

大輔にとって良かったのは、プルシェンコ様が国内大会で負けてロシア代表になれなかったこと。
コフトゥンではまだメダル争いには絡めないと思うので、よけいなライバルが一人減ったことは本当にラッキーです。

ただ、オリンピックのフィギュア、特に男女シングルというのは、メダルを北米、ヨーロッパ、アジアで分け合うという文化があるような気がしてなりません。

そういうところでいうと、今回のオリンピック、男子のメダルは、パトリック・チャン、ハピエル・フェルナンデス、羽生くん、大輔の4人で争うことになり、日本は羽生君か大輔のどちらかしかメダルをもらえないのかな、という気がしないでもないのですが。

ただ、フェルナンデス、グランプリではふるわなかったし(今やってるヨーロッパ選手権ではショート終わった段階でトップらしいですけど)、今、ヨーロッパの男子選手でぱっとする人、この人以外にいない・・・

この人が不調ということになると、北米勢もチャン以外はぱっとしない昨今、日本勢ふたりメダルということもありえなくない・・・

そして・・・個人的に、パトリックには「ミッシェル・クワン臭」を感じるのです。
世界選手権で何回も優勝しているのにオリンピックには縁がない、という・・・
そこはかとないもろさを感じるというか。

どう考えてもこの人がメダルを逃すことはないでしょうが、金を逃す可能性は結構あるんじゃないかと。

さらに、オリンピックでは「選手の格付け」というのが実際の演技と同じくらい、見えない力として採点に働いていることは間違いありません。
ここ1、2年騒がれている若手よりも、コンスタントにそれなりの成績を叩き出しているベテランのほうが、評価が高い。

グランプリとか、世界選手権とは、全然違うのです。

日本では、金メダル最有力候補は羽生君なんていわれていますが、案外、大輔がぽろり、なんてこともなくはない。かなり期待を膨らませてはいますが・・・

男子フィギュアは13日から14日の深夜にかけて、そして14日の深夜から15日の深夜にかけて行われるそうです。

実は、今やってる裁判、14日が審理最終日にして最大の山場なのですが、もう倒れてもいいから、この日はオリンピック、見ます。

チンピラジャニーズから真のアーチストに変貌した大輔の最後の花道。目に焼き付けようと思います。

ここまで書いておきながら、私にとって彼のベストパフォーマンスは、バンクーバーの「道」なのでした。

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