2020年11月29日日曜日

格が一段上がった坂本花織と鍵山優真:NHK杯フィギュア

 金曜日から始まったNHK杯フィギュア。


今年は、コロナの影響でグランプリシリーズの各大会がほぼ国内大会になり、そのうえ、カナダ大会とフランス大会が中止に。


そのため、テレ朝さんは有料視聴のCSでしか放送してくれず、したがって、今季私は、フィギュアスケートの大会をまともに一つも見ていない、という状況でした。


なので、NHK杯が行われるのを、待ちに待っておりました。


このところコロナの感染者が増えているし、今年のNHK杯はコロナの感染者がかなり多い大阪。

中止にならないよね・・・と祈るような気持ちでした。


残念ながら、紀平梨花、宇野昌磨といったトップ中のトップは参加せず、出場者の半数近くがジュニア選手という全日本選手権の縮小版か?みたいな大会でしたが、久々のフィギュアスケートは、本当に楽しかった・・・


いや、フィギュアスケートはいいわ、本当に!!と心から思えた大会でありました。


そんな大会の総括ですが、タイトルにあるとおり、「坂本花織と鍵山優真の格が一段上がった」の一言に尽きるな、と思うのであります。


坂本花織・・・当たればでかいけど、ミスしてもでかい、ミスを最小限に抑えられない、なので上に昇りきれないという印象がありました。


私の中でこれまでの最高の演技は2018年の全日本選手権。紀平梨花を抑えて優勝したときの滑りでした。


あのときの滑りは凄みがあって、「観ている人に文句言わせない」という雰囲気を漂わせていました。


が、これ以降、そういう演技は見ることがありませんでした。

なんというか2019年シーズンは、ロシア三人娘にただ圧倒されて終わってしまったという感じ。

結果として、(行われなかったけど)世界選手権も逃すことになったわけです。


今回のNHK杯は、ショートもフリーもどちらもノーミス。

ノーミスしただけじゃなくて、演技に深みが増したし、ジャンプもただ大きいだけじゃなくて軽やかになった。


しかも彼女、この間メイクやヘアメイクも勉強したと思うのです。ポニーテールが巻いてあったり、ピアスが入っていたり、顔立ちもショートとフリーで全然違いました。


今日の演技がいつでもできれば、今季いまいち調子が上がらなさそうなロシア3人娘の一角を崩すことができると思うし、全日本で(おそらくは)紀平梨花といい勝負になると思ったのであります。


そして、鍵山優真くん。


この子、2018年末の全日本選手権で(確か)5位になったのですが、このときから「いい選手が出てきたなあ」と思ってみてきました。


昨季は、全日本3位、四大陸3位と好成績を収めて今年シニアに上がってきたわけですが、宇野くんがシニアに上がってきたときと同じような雰囲気があるなと思うのであります。


今年通常通りにグランプリシリーズが開催されていたら、きっとポイントを重ねてファイナルに進出し、うまくいけば表彰台に手が届いたかなあという気がします。


日本男子のシニアって、格付けでいうと、まず、羽生くん、宇野くんがいて、2段階くらい下のレベルに田中刑事くんと友野一希くんがいるという状況でした。


世界と互角に戦えるのは、羽生くんと宇野くん(宇野くん昨季は絶不調だったけど)くらいで、田中・友野は、ちょっと引き離されてしまっているよなあ、という状況でした。


で、鍵山くんと佐藤駿くんがシニアに上がったら、おそらく、田中・友野の上の格に入るだろうことは想像がついたけれど、では、どれだけ羽生・宇野レベルに近づいたところにいられるかということがとても気になっていたわけです。


特に日本男子の今後の世界での戦いというものを考えた場合、この二人が、羽生・宇野にどれだけ近づいていられるかというのは、すごーく大事だなと思っておりました。


東日本選手権ではミスが出て佐藤駿くんに負けたらしい鍵山くん・・・

ですが、NHK杯では、ミスをしつつもしっかりとスコアを稼ぎ、ぶっちぎりの優勝を果たしたのでありました。


この勝ち方がすごいなと思っていて・・・

特にショート。

必須要素のトリプルアクセルがパンクしてシングルになってしまって、0点になってしまったにもかかわらず、しっかり87点台を出しました。

羽生くんとかの超上位選手になると、ジャンプを1個ミスっても、他の要素の加点で、そのミスをある程度補えるだけのスコアを、ミスが許されないと言われているショートで出したりします。


鍵山くん、しっかりそういうスコアになっていたのですよね。

つまり、他の要素をぎりぎりこなしているのではなく、加点をもらえるこなし方をしているということです。


これもう、羽生・宇野レベルに近い位置にいることの証なのかなあと思うのです。


順当に行けば、今年の全日本は、羽生・宇野・鍵山で表彰台を占めることになると思います。


今季、羽生・宇野は、まだ試合に出ていない。

対して、鍵山くんは国内選手権を複数戦っていて、試合勘がしっかりあるし、審判の評価もある。


そんななかで、行われる全日本、先の3人の順位、どうなるかわからないな・・・と思うのであります。


鍵山くんが3位というのが順当な位置ではあろうかと思うのですが、下剋上が起こる可能性も少なくないのでは?という気がしています。


コロナの影響で四大陸選手権はすでに中止が決まっていますし、世界選手権だってどうなるかわからない。


そうすると、今年のフィギュアシーズンは、下手すれば全日本選手権で終了ということになりかねないわけです。


選手も同じように考えているように思います。


そんないつも異常に重要な位置づけになる全日本選手権で、坂本花織ちゃんと鍵山優真くんが、どの位置につけるのか、今からものすごく楽しみなのでありました。




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