2013年12月16日月曜日

日本のアイドルは、名曲を歌う。

昨日、ネットのニュースで見たのですが、AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」が、ロングヒットを続けているそうで。

「やはり」と、思わずうなずいてしまいました。
私も、買ってしまいましたから、CD。
で、非常に良い曲だなあと思って聞いておりました。

80年代のディスコチューンをモチーフにしているとのことですが、サウンドの作りは確かにそうではあるものの、メロディーラインは非常に優しいポップな感じで、歌詞も高校生と思しき女の子の心情を親しみやすい言葉で歌っている、親近感が持てる内容。

しかも、曲のみならず、PVもちょっとキュンとなる良い出来。
老若男女が普段着姿で、いろんなところで、あの独特の「振り」で踊る様子は、心温まるというか、なんだかジーンとなります。

今、いくつかの自治体やファンのグループが、「恋チュン」のPVを作成してYOU TUBEにアップしているというのも、なるほど、なのです。

以前、峯岸みなみのスキャンダルがあった際に「AKBは末期症状じゃ?」などという投稿をしましたが、この曲一発で、大々的に息を吹き返した感があります。

と、うだうだ書きましたが、要は「恋するフォーチュンクッキー」は、この先長く歌い継がれる「名曲」になるであろうと思うのであります。

アイドルの歌で「名曲」が誕生するのは、かなり久々なことではないかと思います。

日本の戦後歌謡史(といっても私の記憶にあるのは70年代以降、ですが)を彩る名曲の中には、「アイドル」が歌っているものが、数多くあります。
古くは、キャンディーズ、山口百恵に始まり、松田聖子、中森明菜、工藤静香等々。

女性アイドルというのは、本来、男子の「ペット」的な存在であるはずで、歌唱力であるとか、いわゆる「いい歌」を歌うであるとか、さほど求められないように思われます。

が、先に挙げた本当に代表的なアイドル以外でも、渋さすら感じさせる良曲を歌っていたアイドルがあまたいたのであります。

たとえば、あまちゃんのコンピレーション的アルバム「春子の部屋 ビクター編」にも収録されていますが、薬師丸ひろ子の「セーラー服と機関銃」、原田知世の「時をかける少女」、河合その子の「青いスタスィオン」は、今聞いても色あせないすばらしい名曲です。

あまり売れなかったアイドルの中では、徳丸純子の「恋はシーソーゲーム」が、石川ひとみの「待ちぶせ」を彷彿とさせるなかなかの逸品でした(覚えている人、いるでしょうか)。

90年代後半以降の芸能界では、一時「アイドル」という職業が「グラビア」に集中してしまい、テレビに出てかわいい衣装を着て歌を歌うアイドルは見かけなくなってしまいました。

思えば、CDが売れなくなり始めたのは、歌謡界に「アイドル」がいなくなり始めた時期に重なるのではないでしょうか。

当時は「他の娯楽が増えたから」とか外的要因が様々指摘されていましたが、実のところ、ホントの理由って「アイドル不在」だったようにも思えたり。

ここ5、6年前からでしょうか。
アイドルがイコール「アイドルグループ」を指すようになってしまって、顔は覚えられないわ、曲はメロディーラインも展開もアニメチックでよくわからんわ、みたいな状況になり、いろんな曲があるものの「使い捨て」感満載の曲ばかりが、やたら短いスパンで出されるようになりました。

そんななか、AKBが、国民的アイドルに登りつめて、コアなファンだけにこだわらなくてもよくなった余裕からか、久しくお目見えしなかった「アイドルらしい名曲」を出してくれたわけです。

いや、長かった。

私の記憶では、工藤静香以来(まあ、この人の場合、中森明菜と同じで、歌っていた歌は、アイドルらしからぬディープなものが多かったですが)であります。

アイドルが歌う名曲をこよなく愛してきたハヤシとしては、なんともうれしい限り、なのです。

ところで、気になるのは、男性アイドルによる「歌い継がれる名曲」ってあまり記憶がないということ。

西城秀樹の「ヤングマン」とかSMAPの「夜空ノムコウ」くらい?
ああ、少年隊の「仮面舞踏会」とか、kinkikid'sの「硝子の少年」もありますか。

シブがき隊の「スシ食いねえ」も、ある意味名曲かも・・・

しかし、こう、なんというか女性アイドルが歌う「名曲」とは違うような。歌詞でしみじみ聞かせるという曲が、極端に少ない気がします。

きっと、男性の場合、聴かせる歌を歌うタイプは、アイドルにならないんでしょう。
女子の方が歌を歌うためのチャンネルといいますか、立ち位置の選択が、事実上限られるのかもしれません。
そのためにアイドルの立ち位置の人が、いい曲を歌える、ということかと。

今後望むのは、今の80年代ブームに乗っかって(ありがとう、「あまちゃん」!!)、ピンで勝負するアイドルが群雄割拠して、親しみやすく口ずさみやすい名曲が、再びどばどば生まれるようになることです。

さしあたっては、今年の紅白、AKBにはトリで「恋チュン」を歌って欲しいのであります。




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