2013年12月22日日曜日

あの日の地獄絵図。

年末の三連休。

一日たりとも休めないんじゃないかと冷や冷やしていましたが、なんとか家でちょびちょび書面を書けばいいくらいの状況に落ち着き、比較的マイペースで過ごせる感じになりました(とはいえ、しわ寄せが24日以降に来そうな勢いではある)。

昨日から全日本フィギュアが始まりました。
今年はオリンピック選考を兼ねていて、しかも男子シングルが激戦になっているからか、昨日の放送は、第4グループ以降をライブ放送してくれました。偉いぞ、フジテレビ。
その分よけいな紹介ビデオがなくて、十分に競技を堪能できました。

とはいえ、これはこれで少し残念。
「全日本でしかテレビに映らない選手」というのを観るチャンスが激減してしまったからです。
例えば、第4グループまでの上位者でいうと、田中刑事くん(確か、ジュニアGPファイナル優勝者)、日野龍樹くん、などなど。

まあ、B級?だけど、そこそこに名前が売れているという選手だと、昨日は、中村健人くん、村上大介くん、佐々木彰生くんは、第4グループ以降だったので、そのお姿を拝見することができました。

全日本フィギュアは、こういう一線級一歩前みたいな人も、ぴかぴかの一線級と一緒のグループで滑っちゃうのが、なかなかにおもしろいところです。
ただ、見ていて思ったのは、たぶん、中村健人くんあたりは、他のどこかの国だったら、きっとオリンピック出られたんだろうなあということです。

全日本フィギュアにでる選手というのは、上を見ればきりがないけど、本当に、それはそれはすごい人たちです。

フィギュアスケートというのは、
1 スピンやステップで転ばずに
2 曲が流れている最中にすべての要素をこなす
ことができるだけで、もう十分にすごいスポーツなのです。

トリノオリンピックがあった年の1月だったでしょうか。
冬のインカレが道東地方で行われました。

フィギュアスケートは帯広のとあるリンクで行われ、大学1年生の織田信成と今はフジテレビ社員の中野友加里も来ることになっていました。しかも、無料公開。
ということで、当時まだ札幌に住んでいた私は、男子フリーが行われる日に、日帰りで帯広に見に行ったのです(女子の試合の日は、当時の仕事とかぶり、断念)。

織田くんの滑走が最終グループなのはわかっていたのですが、ぎりぎりに行ったら会場には入れないんじゃないかと思い、かなり早い時間に出て行きました。

そのため、第1グループの3人目あたりから見ることに。

非常に有益な体験でした。

これを見てから、たかが2、3回転んだくらいで、選手をののしってはいけないと思いました。

インカレの第1グループ第2グループというのは、滑っては転び、回っては転び、飛んでは転び、起きあがっては転ぶ。つまり、リンクを回っている時間よりも、転んで起きあがる時間の方が遙かに長い、というレベルです(今は少しはましなんだろうか)。

そんな状況なので、曲は、ただのBGM。
おそらく(いや、たぶん)、曲の世界観を表す「振り付け」というものがそれなりに考えられていて、転んでいる合間に、その一部でも行ってはいると思うのですが、全くわからない。

加えて、転んで起きあがることに多くの時間が費やされてしまうので、曲が流れている最中に、ルール上課されている要素が全く終わらない。

結果、曲が鳴り終わっても、都合2分から3分、その人は、リンク上で転び続けている(いや、滑り続けているのか、一応)という・・・。

さらにすごいのは、リンクサイド。
さすが大学生の大会らしく、同じ大学の子たちが、仲間が滑っているのを見守り、時折拍手をしているのです(おそらく、何かの技を決めたときなのだと思うのだが、何の技を決めたのか、私にはわからず)。

そして、演技が終わった後、みんな一斉にスケートの刃のカバーをリンクに投げ込むのです。
滑り終わった選手は、それを1つ1つ拾って、リンクを去っていきます。

最初、「軽いいじめか?」と思いました。
しかし、そうではありませんでした。
カバーは、お花や他のプレゼントの代わりでした。

このときの採点は、旧採点方式でした。もちろん、新採点方式移行後のことです。
初めて見ましたよ。6点満点の旧採点方式で、1点台って・・・

曲と振りが合っていて、少なくともスピンやステップで転ばない選手が出てきはじめたのは、織田くんのグループの2つ前あたりから。

そして、テレビで見ている「フィギュアスケート」だなと思えた選手は、織田くんも含め、3人くらいだったのでした・・・

なお、織田くんは、確かこのときはインフルエンザ明けで体調万全じゃない状態でしたが、(今でもへっぴり腰のステップはさておき)スピンもジャンプも、それはそれは美しかったのでした。

全日本に出てくるのは、ピラミッドの頂点にかなり近い人たちです。
高橋大輔とか羽生くんとか町田くんとか、真央ちゃん、鈴木さん、佳菜子ちゃんなんかは、ピラミッドの頂点に君臨する人々です。

もう、オリンピックの金メダルだの銀メダルだのなんて、頂点にいる人たち通しの(あまりマッチした言葉ではないが)「目くそ鼻くそ」くらいの違いでしかないわけです。

底辺には、あの日見た、インカレ第1グループみたいな人たちがあまたいるわけです。

なぜか、私は全日本を見る度に、あの日見た、あの地獄絵図を思い出します。中村健人くんとか、佐々木彰生くんとかを見て、思い出すのは、非常に失礼な話だとは思うのですが。

不思議なことに、あの光景、もう1回見てみたいような気もします。
だって、転んでいるみんな、楽しそうだったから。
スポーツってのは、つくづくやることに意味があるものなんだなと、そう思います。

とはいえ、今の私にとっては、目の前のオリンピック選考が非常に重要なんですが。

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