2013年12月9日月曜日

グランプリファイナル一考。

グランプリファイナルが終わりました。

蓋を開けてみれば、男女シングルはともに日本選手が優勝。
大阪出張とかぶっていたにも関わらず、かなり堪能しました。
で、改めて思ったことなど、つらつらと。

1 パトリック・チャンって、うまいんだと初めて思った。

何を今更・・・と言われそうな感じですが、チャンって、転んでも何しても異様な高得点がでる、男キム・ヨナ、こやつもインチキか?と思っていたのですが・・・

ようやっと、うまいということがわかりました。
何で今更気がついたかというと、羽生君との比較をしたからなのです。

要は、ステップを踏んでいるときの上半身の使い方が羽生君とは全然違うのです。
チャンの場合、体が硬いせいもあるとは思うのですが、ステップを踏んでいるときの振り付けは、最近の若い選手と比べるとかなり控えめです。
上半身を振り回さなくても、腰から下をうまく使って、無理なくかつ非常になめらかで深くステップを踏めるわけです。

フィギュアスケート選手には見えないくらいマッチョですけど、かなり体幹がしっかりできあがっているのだと思います。
で、上半身をばたばた振り回さなくていいので、音楽も「バタバタ」系じゃない、非常にシンプルなクラシックの曲をチョイスできるのです。

クラシックのシンプルな曲を選択できるのは、自分のスケーティングに自信があるごく一部の優秀な選手に限られるのでしょう。
音楽に頼らず自分のスケーティングに集中してもらえるだけの技術を持っていないといけないわけですから。
しかも、そのシンプルな曲を「魅せる」表現力も必要なわけだし。

今の男子選手でそれができるのって、チャンと高橋大輔くらいなものではないでしょうか?

羽生君の場合、非常にバタバタした感じの曲ばかりチョイスされていて(しかも、ショートの曲は、セクシー部長のテーマだろ)、それって、上半身で振り回して足を持ってくステップの仕方をせざるを得ないからなのだと思うのです。

つまり、「バタバタ」を振り付けとして見せなきゃならないので、ド派手な曲が必要という。
で、羽生君の場合、体幹も思い切り弱いので、上半身は振り回さなきゃならないわ、体力は消耗するわで、最後の方は、時折見るも無惨なくらいヨレヨレになってしまいます。

はっきり言うけど、今回、フリーに関していえば、チャンの方が出来が良かったと私は思います。
明らかに福岡開催のご祝儀相場でしょ、羽生君。

いや、しかし。
オーサーって、キムヨナの時も思ったけど、「曲」と「振り付け」である意味煽ってごまかして点を取る作戦がお上手ですなあという感じです。
審判もそういうのにだまされちゃうんですかね、プロなのに。

本題からずれちゃいました。
パトリック・チャン、うまいです。
今まで気づかず、ごめんなさい。

2 浅田真央に風格が出てきた。

有名な意地悪日本人ジャッジのために、ショートでのトリプルアクセルが回転不足と判定された真央ちゃん。
フリーでは、2回入れたトリプルアクセルが、いずれも失敗。

今までの真央ちゃんなら、それで、表情が曇り、引きずって他の要素もイマイチになっていました。
金メダルをとっても、浮かない顔になりました。

しかし、真央ちゃんは、崩れませんでした。
フリーの演技が終わった後も、余裕の笑み。
「ま、こんなもんか」
とでも言いたげな。
表彰式での表情も明るく、カメラに向かってもうれしそうにメダルを見せてくれました。

悟ったんだろうなあ、真央ちゃん。
バンクーバーの後の3年間は、基礎を見直すという作業に終始していました。
世界選手権で2年連続屈辱の6位。
ソチに間に合うのかどうか、不安だったことでしょう。
まるで修行僧のような時間を過ごしてきたのです。

演技構成で高得点をとれるようになり、ジャンプの基礎を作り直したおかげで、アクセルがだめでも崩れなくなり、なんというか、確固たるものが自分の中にできたような、そんな気がします。

すっかり図太くたくましくなった真央ちゃんですが、この人はやっぱり、ピュアなまま、なのです。
薄汚れた感じが一切ないのです。

審判が裏で買収されたり、得点調整がされていたり、そんな話はきっとごまんと聞いているだろうに、それでも自分の演技を磨くことに邁進する、その精神力は、本当に尊敬してしまう。

私は確信するのです。
真央ちゃんは、メダルの色は何色でもいいと思っているんだろうなと。
自分が目指す演技ができれば、それでいいと思っているのではないかと。
で、きっと、今までの時間が夢だったみたいに、いさぎよく私たちの前から、消えちゃうんだろうなと。

オリンピックでは、図太く美しくなった真央ちゃんを、存分に発揮してもらいたいものです。

ところで、クロアチアのB級大会で、見事、真央ちゃんを上回る点数で優勝したキムヨナ女王様ですが、優勝したにも関わらず、その後の会見での表情は暗く、「オリンピックでは結果に関わらず楽しみたい」などと漏らしていました。

なんでも、B級の大会であるにも関わらず、技術点の評価が辛く、レベル1をつけられたものもあったのだとか(スコア見てないからわからないのですが、おそらくステップではないかと。彼女のステップは、昔から、緩急のないインチキ臭いステップでしたから)。
演技構成点で、かなりな調整ははかられていたようですけどね。

同じ200点越えなのに、何とも対照的なこの二人。
さて、ソチで笑うのはどちらなのでしょうか。

いや。
真央ちゃんは、自分の演技さえできれば、笑えるだけの根性を身につけましたからね。
この人と比べるのは、やめた方がいいんでしょう。

次は全日本。
さて、男女シングルの代表選手、どうなりますことやら。




1 件のコメント:

  1. はじめまして。以前からブログ拝見させて頂いておりました^^
    現役でチャン・高橋と並んでスケートを奏でられる選手、私はジェレミー・アボットも並ぶと思っています♪彼のスケートは音がなくても見ていたいほどです。

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