2013年8月11日日曜日

持ってくなあ、増田明美。

ひどい暑さでした。

午後3時ころ、所用のために銀座に出かけました。
地下鉄の駅に行く数分の間
銀座の地下からザラに行くまでの間
それだけでも、もううんざり。
歩行者天国の脇を救急車が通って行きましたが、もしかして熱中症で運ばれた人でもいたんでしょうか。

銀座の松屋の地下で日本酒を見繕って帰ってきました。
もちろん、ゆっくり飲みながら女子マラソンを観ようと思っていたわけです。

林は、陸上競技を観るのが大好きです。
特に、マラソンは、最初から最後まで集中を切らさずに見ることができます…って、マラソンなんて、途中席を立ってはいけない競技なのです、本来。
どのタイミングで何があるのか(集団が崩れる、誰かが棄権する、スパートをかける)わからないのですから。

シドニー五輪のQちゃん(高橋尚子)なんて、1日に3回観ました。朝7時からの生放送、昼過ぎからの再放送、そして夜の再再放送。本当は、最後、リディア・シモンに抜かれたんじゃないかと不安で不安でたまらなかったのです。
3回観ましたが、全然飽きませんでした。

本日の女子マラソンは、酒のつまみにはもってこいの内容でした。

野口みずきは残念でしたが、いつも終盤グダグダになる福士加代子が、別人の走りで4位から3位に這い上がり、木崎良子も続いて4位。
5人の枠を持っているところ、入賞レベル、メダル圏内の3人に代表を絞った陸連の作戦は、まあ、女子に関しては成功したといえるのでしょう。

しかし、うまい酒のつまみは、これだけではありません。
なんといっても、増田明美の解説です。
いや。
この人の場合、もはや「解説」ではないですな。
「小話」です。
だって、技術的な解説してる印象、ないですもの。
本日に関して言うと、技術的な話をしていたのは、もっぱらQちゃんだったはず。

増田さんは、目の前に繰り広げられる映像、その選手の名前からインスパイアされた話題で、42.195キロを引っ張る、まさに「マラソン小話」を繰り広げているわけです。

前にもこの話書いたかもしれませんが、「マツコ有吉の怒り新党」で、増田明美のマラソン中継中の三大ミニ情報というネタをやっていましたが、その時にまとまって聞いてしまった、選手のあまりにもプライベートな事情の情報収集力には、他の追随を許さないものがありました。
「怒り新党」の中で披露されていたのは、すべて国内大会での小話でしたが(確か、大阪国際が多かったはず?)、その情報収集力の高さは、もう普通に世界レベルなのです。

例えば、酔っぱらっている私の耳に強く引っかかった情報は、

・木崎良子:保育士になろうとして実習に行った北海道で会った二人の子供(サカイなんとかちゃんとかって実名出してたけど大丈夫なのか?)と、未だに文通している。

・キプラガト(優勝したケニア選手):夫との間に二人の子供がいるが、お姉さんが数年前に亡くなって、その子供二人も引き取って、夫と二人で育てている。

並の解説者だったら、「競技と関係ないこと話すな!!」と多くの苦情が寄せられそうなものです。しかし、増田さんの場合、これでもうかなり長いこと、女子マラソンの解説をほぼ独占状態。
金メダリスト、元世界記録保持者のQちゃんが、テレビの仕事を始めて久しいというのに、解説の世界の序列では、まだ増田さんの足元にも及びません。

なぜか。
それは、あのソフトでお上品な語り口と、柔らかくて耳に心地よい声色のせいだと、私は踏んでいます。
あのなんとも言えない「増田喋り」で言われてしまうと、テレビの前の人間は、「ストライドが狭くなった」だの「木崎は昔、左腕が振れいなかった」だのという技術的な話と同じくらい、いや、それ以上に、「木崎は子供と文通している」ということが、重要な情報ではないかという錯覚を起こして、多大なる共感を持って話を受け入れてしまうのです。

増田さんの小話には、選手をただのスポーツ選手としてではなく、一人の人間として見せるという大いなる効果があるでしょう。
しかし、増田さんの小話を聞くためにマラソン中継を見るという本末転倒な楽しみ方をしている人も、一定数いるはずです。

さて、(もう日が変わったので)昨日の女子マラソン、結果も増田さんの解説も申し分なかったのですが、中継があまりに下手すぎて、TBSに思わず苦情言おうと思った場面がありました。
要は、日本人選手にフォーカスを当てすぎたあまり、「福士が離された後、上位3人から、エチオピアの選手が脱落する瞬間」、そして「キプラガドがスパートをかけて2位から1位に上がって、後ろを引き離した瞬間」というかなり決定的な場面を映せなかったのです。

あのね、マラソン好きは、こういうシーンが観たいの。
日本人はみんな、日本人が走ってる姿観てりゃ喜ぶって訳じゃないのです。

これ、NHKでは絶対にやらないミスです。
マラソン中継の初歩です。
ったく、TBSは、何年世界陸上の中継やってるんだろうねえ、何年ニューイヤー実業団駅伝の中継やってるんだろうねえ、と嫌みのひとつも言いたくなるものです。

だから、お願いです。

できれば、NHKさん、世界陸上の放映権を奪ってください。
そして、BSでいいので、変な演出せずに「NHKは、全部やる」を世界陸上でも実施してください。

できれば、メインパーソナリティは、増田明美さんにお願いしてください。
もしかすると、ミニ情報の洪水で、増田さん、死んじゃうかもしれませんが。

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